
べにや無何有
Text.Takako Kosakai
Photo.THE RYOKAN COLLECTION
Photo.THE RYOKAN COLLECTION



何もない、自由に満たされた宿
「無何有」とは荘子が好んだ言葉で、「何もないこと、無為であること」。何もない、何も手を加えないところにこそ、自由な、囚われない心があるという。山代温泉に佇む「無何有」は、建築家・竹山聖氏の設計。コンクリートとホワイトウッドを基調とし、周囲の豊かな自然が流れ込んでくるような開放的な造りだ。17の客室はいずれも赤松や楓が生い茂る山庭に面し、露天風呂付き。木洩れ日を浴びながら温泉に身を浸せば、聞こえるのは風と湯の音ばかり。なかでも特別室「若紫」は正面に山桜を望める100の広さで、ゆったりとした時間を過ごすにふさわしい。料理は加賀野菜や北陸の海の幸を堪能できる和懐石。季節の恵みを舌で味わい、全身で自然の息吹を吸収し、心に静かな安らぎを取り戻せる宿だ。
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