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この《種をまく人》に、作品を収蔵する山梨県立美術館で出逢ったのが、同県白州町で300年続く老舗、山梨銘醸の醸造責任者・北原亮庫氏だ。北原氏は言う。「ミレーの作品は華美な装飾は少なく、農村に生きる農民の現実を切り取った描写が多く、生々しい人間の息遣いが感じ取れます。特に《種をまく人》はバルビゾン村で新たな歩みを始めたミレーの意気込みや農民の収穫への期待を込めた力強さが感じられる作品です」。北原氏はミレーの作品に向き合い、その作品の躍動感あふれる生命力を酒造りに落とし込み、時とともに変化する複雑な味わいを「七賢EXPRESSION 2006」で表現した。

 七賢EXPRESSIONとは、1年に1度のみ造られる特別なスパークリング日本酒だ。マグマが地下で固まってできた花崗岩が、100万年の歳月をかけて持ち上げられて生まれた甲斐駒ヶ岳に降る雪が、再び長い年月をかけて花崗岩に磨かれ、柔らかく透明感のある水を生む。この甲斐駒ヶ岳の伏流水を仕込み水に用いた七賢は、フランス料理の巨匠、アラン・デュカスと共同開発した「アラン・デュカス スパークリング サケ」を発表するなど、国内外の舌の肥えたファンから愛され続けている。「EXPRESSION」シリーズは、その七賢で熟成管理された大吟醸古酒に、新しい息吹を吹き込む取り組みだ。

「七賢EXPRESSION 2006」は、06年に醸造された大吟醸古酒を仕込み水の一部として用い2種類の酵母を使用。穏やかで落ち着いた味わいに、洋ナシのような果実味が感じられ、古酒の特徴であるカラメルのような香ばしさも併せ持つ。

 ミレー、バルビゾン村、白州。大自然の力と、そこに息づく人の手仕事をいかに重ね合わせるかを追求しながら、ミレーの作品と七賢を楽しむ都会に住まう人のことも意識。飲んだ瞬間に、力強い野生と「白州やバルビゾン村の風景が広がってくれたら」と北原氏は話す。自然を受け入れ、たおやかに新しい一歩を踏み出す、生命の美しさを味わいたい。
瓶内二次発酵のため、注いだ瞬間の細やかな泡に加えて、グラスの底から泡が立ち上るのが特徴的。古酒を使用していることから、レモンイエローのような色合いに。

●山梨銘醸 TEL0551-35-2236 
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