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世界のガストロノミー界の変貌
Text Hiroko Komatsu
The World’s 50 Best Restaurants 授賞式の様子。
The World’s 50 Best Restaurants、約2年ぶりの開催
文字通り、世界No.1のレストランを決めるアワード、The World’s 50 Best Restaurants (以下ベスト50)が、去る、10月5日に、ベルギーの古都アントワープで行われた。ジャーナリスト、フーディーズ、レストラン関係者など、世界で1000人以上の食のプロで構成された評議員の投票によって、世界のベストレストランが決められる。その端緒は、2002年のロンドンにさかのぼる。以来、20年弱、ミシュランに対抗するイノベーティブなレストランが多くランクインすることもあり、瞬く間に、ガストロノミー界の潮流に多大な影響を持つに至った。アワードは長くロンドンで行われてきたが、その後は、「わが都市を、美食の都に」と、自らアワードを誘致するケースも増え、NY、メルボルン、ビルバオ、シンガポールなど、名だたるグルメ都市が名乗りをあげてきた。そして、2021年は、フランスやオランダと至近にありながら、150以上の民族が住まう、ダイバーシティー・アントワープが手を挙げたのである。

 前回アワードが行われたのが、2019年6月のシンガポール。その後、コロナ禍をはさみ、2年超ぶりの開催となった。果たして世界のガストロノミー界はどのような変貌を見せたであろうか。投票自体は2019年の冬に行われたもので、その後、2020年の冬に、投票内容を変更して再投票してもよいという規定のもとで集計されたという、異例づくめの2021年のアワードだった。

 結果、選ばれたのは5大陸26カ国のレストラン50店。会場に集まったシェフたちからは、コロナ禍で、レストラン業界が直面した冬の時代を経て、再びガストロノミー業界を盛り上げていこうという熱気が例年以上に感じられた。会場では、スクリーンに映し出されたプレゼンターが、50位から順にレストラン名を読み上げていく。シェフは1階席に、ジャーナリストは2階席に位置するが、2階席にまで、その緊張が伝わってくる。なぜなら、読み上げられてしまったら、その順位で終わりだから。一つでも順位を上に、という息の詰まるような沈黙、その後の、喝采と喜びのハグ。見ているこちらまでもが、胸が熱くなる。

誰もが固唾を呑んで結果を見守った。
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