

食語の心 第95回
作家 柏井壽
ていねいな家ご飯
コロナ禍は、食のあり様を大きく変えた。コロナの感染拡大は多くが外食に起因している。どんな根拠があるのか分からないが、いつの間にかそんなふうに決めつけられ、多くの飲食店がスケープゴートにされた。感染対策を講じるのは当然だと思うが、営業時間の短縮や、飲酒禁止まで命ぜられるのは、いかがなものかと思ってしまう。
鬱々とした空気を振り払うのに、外食は大きな役割を果たすと思うのだが、長くそれを制限されている。プロの味を楽しむには、テイクアウトや宅配に頼るしかなく、外食でも内食でもない、中食という概念が広がるに至った。プロの料理人が作った料理を居ながらにして楽しめるのはありがたい限り。
しかしながら、それも毎度毎度というわけにはいかず、当然のことながら、内食、すなわち家ご飯をどう充実させるか、という命題に頭を悩ませることになった。テレワークという流れもあり、自宅にこもって、調理に掛ける時間と情熱が増えたという向きは多い。
そこで前回のテーマとなった、かつお節である。
時間もあって、余裕を持って調理ができる。となれば、いきおい料理がていねいになる。化学調味料ではなく、きちんと出汁をとってみよう。ということで、僕もかつお節削り器を買ってみた。枕崎産だというかつお節を削ってみると、面倒どころか、実に楽しい作業なのだと気付いた。自分で削ったかつおで出汁を取るとおいしいのはもちろんだが、削り立てのかつおは、そのまま食べてもおいしいのだ。
鬱々とした空気を振り払うのに、外食は大きな役割を果たすと思うのだが、長くそれを制限されている。プロの味を楽しむには、テイクアウトや宅配に頼るしかなく、外食でも内食でもない、中食という概念が広がるに至った。プロの料理人が作った料理を居ながらにして楽しめるのはありがたい限り。
しかしながら、それも毎度毎度というわけにはいかず、当然のことながら、内食、すなわち家ご飯をどう充実させるか、という命題に頭を悩ませることになった。テレワークという流れもあり、自宅にこもって、調理に掛ける時間と情熱が増えたという向きは多い。
そこで前回のテーマとなった、かつお節である。
時間もあって、余裕を持って調理ができる。となれば、いきおい料理がていねいになる。化学調味料ではなく、きちんと出汁をとってみよう。ということで、僕もかつお節削り器を買ってみた。枕崎産だというかつお節を削ってみると、面倒どころか、実に楽しい作業なのだと気付いた。自分で削ったかつおで出汁を取るとおいしいのはもちろんだが、削り立てのかつおは、そのまま食べてもおいしいのだ。