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(左)しっとりと仕上げた仔羊のローストに、千葉県産の黒キャベツ、イタリア産のスペルト小麦などを合わせて。イタリアと日本の食材が融合。(右)イタリア産の黒ビールのジェラートが、ひときわ印象的なドルチェ。黒イチジク、キャラメルのケーキを合わせ、秋らしい2色のチュイルをかぶせる。
ドルチェでもまた、秋が存分に表現される。紅葉の風景が目に浮かぶような、鮮やかな赤とベージュの色合いがまず心を打つ。そしてこの皿の主役である、軽くカラメリゼした黒イチジクの豊かな香りとジューシーな食感も魅力的。添えられたイタリア産黒ビールのジェラートは、黒ビールのまろやかな苦みをナチュラルに生かした仕立て。甘さ控えめ、すっきりとした味わいながら、厚みのある風味と心地よい余韻が強い印象を残す。ともに皿に盛られるセミドライのイチジク入りのキャラメルケーキも、黒イチジクともジェラートとも相性が抜群だ。マッシュポテトをベースとする、軽やかでどこかほっこりとした風味の2色のチュイルも、味わいとテクスチャーのアクセントとして皿を引き立てる。色使いが美しい有田焼の皿も見どころだ。
 コースの品数を絞り、一品ごとに存在感を持たせ、主役の食材にしっかりと主張させるのも同店の料理の特徴。軽やかながら「何を食べたか」が記憶に残る食事を意識する。
 挑戦的でエレガント、そして本質的。アルマーニの哲学がリストランテの隅々にまで息づいている。
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