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氷河に削られて形成された丘陵地に広がるフランチャコルタの葡萄畑。益虫を大切にし、水を節約する自然に寄り添った農法により生き生きとした糖度の高い葡萄が育まれる。
美しい味は熟成期間に比例する
Text Rie Nakajima
その品質の高さから、日本でも注目されつつあるイタリアのスパークリングワイン「フランチャコルタ」。温暖で風光明媚な土地に育まれた、生命力あふれる葡萄から生み出される一滴は、人生の豊かさと喜びにあふれている。
フランチャコルタとはイタリア北部、ロンバルディア州にある小さな地域の呼称であり、この地で厳しい基準に則のっとって造られる瓶内二次発酵の発泡性ワインの総称だ。シャンパーニュと同じ製法で造られ、同製法のイタリアワインとして初めて統制保証原産地呼称(DOCG)の認証を獲得した。つまりフランチャコルタとは、生産地と生産方式、ワイン名を表す名称である。
 無数の鳥や花々が生きるセビーノ沼自然保護地区、イゼオ湖の南に位置する丘陵地に、葡萄畑が広がる。フランチャコルタは美しい自然と世界遺産の修道院を有する、貴族たちの別荘地として知られた地だ。1万年以上前の氷河の後退によって形成された、豊富なミネラルを含む土壌と良好な気象条件を持ち、中世から葡萄栽培が続けられてきた。当初は地域で消費されていたが、その歴史に転機をもたらしたのが、1960年代に初めて瓶内二次発酵による高品質のスパークリングワインを完成させた醸造家、フランコ・ジリアーニである。その後、第2次世界大戦後のイタリアの経済成長に乗り、世界に名だたる洗練されたワインブランドとして急速に躍進したフランチャコルタは、品質とともにビジネスモデルも注目され、「フランチャコルタの奇跡」と称賛されるに至る。
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