PAGE...1

アルマーニの美学が息づくイタリアン
Photo Haruko Amagata Text Izumi Shibata
ファッションの世界のアイコンとして40年以上にわたり君臨し続ける巨匠、ジョルジオ・アルマーニ氏。そのアルマーニ氏の監修のもとで今年の3月、大規模なリニューアルオープンを果たした「アルマーニ/銀座タワー」。10階に位置する「アルマーニ/リストランテ」にも、氏の哲学が反映している。



(左)今年の3月にリニューアルした「アルマーニ/リストランテ」。肩ひじ張らない雰囲気の中、ソファや椅子のダークネイビーがシックに映える。(右上)しっとりと仕上げた仔羊のローストに、千葉県産の黒キャベツ、イタリア産のスペルト小麦などを合わせて。イタリアと日本の食材が融合。(右下)イタリア産の黒ビールのジェラートが、ひときわ印象的なドルチェ。黒イチジク、キャラメルのケーキを合わせ、秋らしい2色のチュイルをかぶせる。
「マエストロ・ディ・マエストロ(巨匠の中の巨匠)」の異名を持つジョルジオ・アルマーニ氏。氏が展開するブランド「アルマーニ」のクリエーションには、いずれにも「シンプル」「エレガンス」そして「本質」を追求する美学が貫かれている。
世界4都市に展開するハイエンドのリストランテ「アルマーニ/リストランテ」も、もちろんその例外ではない。特に銀座タワー内のリストランテは、今年3月にインテリアやテーブルウェアを一新。これは1年間のクローズドを経てリニューアルした「アルマーニ/銀座タワー」の再オープンに合わせてのことである。アルマーニ氏自身が細部まで確認しつつ監修した新たなタワーにふさわしい、エレガントでシックな空間が広がる。
窓の外の風景は、10階という高さならではの贅沢さ。昼は明るい銀座の風景を、夜はライトアップされた和光の時計台やきらめく街並みを見下ろすことができる。店内は、クロスのないテーブルが気負わない雰囲気を作り出しつつ、ダークネイビーの椅子がほどよい落ち着きを演出。「アルマーニ」の名を体現するシックで洗練された空間が、ゲストを包み込む。
リニューアルを機に「イタリアと和の融合」をいっそう強く打ち出すようになったという。そのテーマは、料理でひときわ豊かに表現されている。例えば、今回紹介する秋のコースのメインの皿では、しっとりとローストした主役の仔こ 羊ひつじをイタリアと日本の食材の数々が引き立てる―京都産のふっくらと大型の大黒しめじ、香り立つイタリア産のシャントレル茸たけ、ローストして風味を凝縮させた千葉県産黒キャベツ、プチプチ、モチモチとした食感が楽しいイタリア産スペルト小麦という具合に、まさに日伊の食材が競演。秋の食材が、味わいでも彩りでもメリハリを作り、美しく調和する。
ドルチェでもまた、秋が存分に表現される。紅葉の風景が目に浮かぶような、鮮やかな赤とベージュの色合いがまず心を打つ。そしてこの皿の主役である、軽くカラメリゼした黒イチジクの豊かな香りとジューシーな食感も魅力的。添えられたイタリア産黒ビールのジェラートは、黒ビールのまろやかな苦みをナチュラルに生かした仕立て。甘さ控えめ、すっきりとした味わいながら、厚みのある風味と心地よい余韻が強い印象を残す。ともに皿に盛られるセミドライのイチジク入りのキャラメルケーキも、黒イチジクともジェラートとも相性が抜群だ。マッシュポテトをベースとする、軽やかでどこかほっこりとした風味の2色のチュイルも、味わいとテクスチャーのアクセントとして皿を引き立てる。色使いが美しい有田焼の皿も見どころだ。
コースの品数を絞り、一品ごとに存在感を持たせ、主役の食材にしっかりと主張させるのも同店の料理の特徴。軽やかながら「何を食べたか」が記憶に残る食事を意識する。
挑戦的でエレガント、そして本質的。アルマーニの哲学がリストランテの隅々にまで息づいている。
●アルマーニ/リストランテ
東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ/銀座タワー10F
TEL03-6274-7005
www.armani.com/restaurant/jp
世界4都市に展開するハイエンドのリストランテ「アルマーニ/リストランテ」も、もちろんその例外ではない。特に銀座タワー内のリストランテは、今年3月にインテリアやテーブルウェアを一新。これは1年間のクローズドを経てリニューアルした「アルマーニ/銀座タワー」の再オープンに合わせてのことである。アルマーニ氏自身が細部まで確認しつつ監修した新たなタワーにふさわしい、エレガントでシックな空間が広がる。
窓の外の風景は、10階という高さならではの贅沢さ。昼は明るい銀座の風景を、夜はライトアップされた和光の時計台やきらめく街並みを見下ろすことができる。店内は、クロスのないテーブルが気負わない雰囲気を作り出しつつ、ダークネイビーの椅子がほどよい落ち着きを演出。「アルマーニ」の名を体現するシックで洗練された空間が、ゲストを包み込む。
リニューアルを機に「イタリアと和の融合」をいっそう強く打ち出すようになったという。そのテーマは、料理でひときわ豊かに表現されている。例えば、今回紹介する秋のコースのメインの皿では、しっとりとローストした主役の仔こ 羊ひつじをイタリアと日本の食材の数々が引き立てる―京都産のふっくらと大型の大黒しめじ、香り立つイタリア産のシャントレル茸たけ、ローストして風味を凝縮させた千葉県産黒キャベツ、プチプチ、モチモチとした食感が楽しいイタリア産スペルト小麦という具合に、まさに日伊の食材が競演。秋の食材が、味わいでも彩りでもメリハリを作り、美しく調和する。
ドルチェでもまた、秋が存分に表現される。紅葉の風景が目に浮かぶような、鮮やかな赤とベージュの色合いがまず心を打つ。そしてこの皿の主役である、軽くカラメリゼした黒イチジクの豊かな香りとジューシーな食感も魅力的。添えられたイタリア産黒ビールのジェラートは、黒ビールのまろやかな苦みをナチュラルに生かした仕立て。甘さ控えめ、すっきりとした味わいながら、厚みのある風味と心地よい余韻が強い印象を残す。ともに皿に盛られるセミドライのイチジク入りのキャラメルケーキも、黒イチジクともジェラートとも相性が抜群だ。マッシュポテトをベースとする、軽やかでどこかほっこりとした風味の2色のチュイルも、味わいとテクスチャーのアクセントとして皿を引き立てる。色使いが美しい有田焼の皿も見どころだ。
コースの品数を絞り、一品ごとに存在感を持たせ、主役の食材にしっかりと主張させるのも同店の料理の特徴。軽やかながら「何を食べたか」が記憶に残る食事を意識する。
挑戦的でエレガント、そして本質的。アルマーニの哲学がリストランテの隅々にまで息づいている。
●アルマーニ/リストランテ
東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ/銀座タワー10F
TEL03-6274-7005
www.armani.com/restaurant/jp
PAGE...1