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沖縄本島の西海岸、恩納村にある瀬良垣島。この小さな島をまるごとリゾートホテルにしてしまったのである。とはいえ地続きだから、アクセスは至便。那覇空港から車で1時間ほど走れば、ホテルのフロントにたどり着けるのだ。
 さまざまなタイプの客室を多くそろえているホテルだが、僕のおすすめはリージェンシークラブのアクセスが付いた部屋。
 チェックイン、アウトを、クラブデスクで行えるので、何かとスムーズにことが運ぶ。加えて、朝、午後、夕とクラブラウンジが開放され、ゆったりとした時間が過ごせる。
 小さな島のなかに立っているホテルだから、客室からの眺望は申し分ない。
ふつうなら夕食まで客室でくつろぐところだが、せっかくのビーチリゾートホテル。まずはプールで水と戯れる。インフィニティプールは、海と一体になれるのがうれしい。
 ひと泳ぎしたあとは、部屋でシャワーを浴びてラウンジへ。アペリティフタイムを愉(たのし)もうという目論見(もくろみ)だ。
 簡単なおつまみも用意されていて、セルフサービスのスパークリングワインをラウンジのテラスで愉しむ。これぞリゾートホテルの醍醐味(だいごみ)。
日が傾き始め、やがて空が紅あかく染まり始める。
一杯のつもりが二杯になり、ついつい飲み過ぎてしまうのも、豊かな時間と言えなくもない。そう言い訳しながら、お目当てのレストランへ。
 2階にある店は、〈シラカチ〉という和食レストランで、その奥にあるのが〈シラカチ・炉端〉。三方がガラス張りになっていて、海を望む眺めもいい。真ん中がオープンキッチンで、それを囲むようにしつらえられたカウンター席でのディナータイム。
 メニューを開くと、基本は沖縄料理だが、独自のアレンジを加えているようで、オーダーを済ませると、期待に胸がふくらむ。
 本連載では何度も書いていることだが、細かな食の描写は避けてきている。
微に入り細をうがつような食描写は、ひとりよがりに陥ってしまうからだ。
 食事を終えての結論。このレストランの料理を食べるためだけに沖縄を訪れても、決して後悔しないだろう。とりわけ〈ふわとろゴーヤチャンプルー〉は傑作。洗練を極めた郷土料理。きっとこれから大きな流れとなるに違いない。
かしわい・ひさし
1952年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業後、京都市北区に歯科医院を開業。生粋の京都人であり、かつ食通でもあることから京都案内本を多数執筆。テレビ番組や雑誌の京都特集でも監修を務める。小説『鴨川食堂』(小学館)はNHKでテレビドラマ化され続編も好評刊行中。
『グルメぎらい』(光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『憂食論 歪みきった日本の食を斬る!』(講談社)など著書多数
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