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 ファンティン氏に、海外から招いたシェフのもてなし方を聞いた。
「ローカルな場所にお連れして、日本の文化をシェアできればと考えています。今回は、あと数日で築地市場が閉まるというタイミングだったので、リチャードと一緒に行ってきました。ボタンエビ、シマエビ、アマエビなどさまざまなエビを試食させてもらいました」
するとエッケバス氏は「日本のエビは何度も使ったことがあったけど、たくさんの種類があり、成長の度合いによって味が大きく異なることを知らなかった。日本の食材は繊細なものが多いですが、日本の料理人はこうした成長の度合いによっての味わいの違いまでを生かして料理をしていることを知って、とても勉強になりました」と、新たな発見をしたようだ。
 また、ファンティン氏は、「日本の季節にフォーカスして食材を選ぶといい」とアドバイスすることもある。今回、エッケバス氏が作ったホタテ料理も、当初は干しホタテを戻して使う予定だったが、ファンティン氏からのアドバイスを受け、築地で見た北海道産の生ホタテに変更。
 確かに供された料理を食べると、フレッシュなホタテは添えられた生のマッシュルームや白トリュフといった食材の食感と異なり、より甘味を感じたように思えた。
「リチャードは20年以上先輩のベテランシェフだから、厨房での立ち振る舞い、食材との向き合い方、料理の考え方など、とても勉強になった。うちの厨房で働く若い料理人たちにとてもいい影響を与えている。だからこの“エピクレア"を続けているのです」とファンティン氏は語った。
 そして11月上旬、ファンティン氏は香港の「アンバー」へ出向き、再びエッケバス氏とともに料理を作った。また新たな料理が生まれ、料理人同士の絆が深まった。
(上)エッケバス氏が来日してから食材を見て変更したホタテ料理。干しホタテで作る予定を急きょ、北海道産のフレッシュなホタテを半生状態で仕上げ、生のマッシュルームと白トリュフを添えた。
(下)ファンティン氏は、シマアジの冷製タリオリーニを。和歌山県の串本産のシマアジをたっぷり上に載せ、ソースにもふんだんに取り入れている。脂の旨みが広がるソースとコリっとした身の食感が小気味いいひと品。
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