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(上)糀菌を生育する部屋、榁(むろ)に積み重ねられた「もろぶた」は、手づくりの糀をつくるのに欠かせない道具である。 (左中)100年ほど前から使い続けている木樽。もちろん今も現役だ。味噌は、樽つきの酵母の影響を受けやすいという。 (右中)「味噌づくりで使う道具の扱い方や修理法といった、知恵や道具との向き合い方も受け継いだと思っています」と話す7代目の井上雅史さん。 (右)創業140年以上という歴史を物語る井上味噌醤油の看板。味噌づくりの原材料には100%国産の米、大豆、塩を用いる。
「味噌を醸造する『木き 樽だる』はもちろんのこと、大豆を炊く『鉄の和釜』、米糀をつくる作業に欠かせない『もろぶた』、味噌を詰める時の『木べら』と、代々伝わる道具を大切に使っています。長年使い続けている木樽や蔵には、味噌を発酵させる微生物、〝酵母〞がすみつき、ウチならではの個性的な味わいの味噌ができます。実は、醤油などは〝蔵〞に宿る菌類の影響を受けますが、味噌は〝樽〞にすみつく菌類の環境が重要になるんです。その証拠に、この100年以上使い込んでいる木樽と2015年に作ったばかりの樽で、同じ材料を同時期に仕込んで熟成させても、まったく違う味になります」
 井上さんの味噌は4種。地元で愛される最も評判の「常と きわ 盤味噌」、鳴門の塩で仕込んだ徳島の郷土味噌の「御膳味噌」、御膳味噌を木樽で5年以上熟成させた「御膳ねさし」、手づくりの米糀の天然の甘みと旨みが特徴の「白味噌」だ。味噌づくりに欠かせない道具との向き合い方までを継承する7代目の味噌は旨いばかりだ。

●井上味噌醤油 徳島県鳴門市撫養町岡崎二等道路西113 TEL088-686-3251
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