PAGE...1|2
さて、今回のお話の本題はこれからである。
 梅雨のさなか。例年通り沖縄を訪れ、ふたつのホテルを泊まり歩き、これまでにない沖縄の食を味わうことができた。その話をしよう。
 ある意味で対照的なふたつのホテルだった。
 そのホテル。1軒目は北谷アメリカンビレッジのただ中にある『リンケンズホテル』。
 このホテルの最大の特徴はシアターレストランを備えていることだ。
その名を『カラハーイ』と言い、ホテルに隣接していて、毎夜、沖縄らしいステージを観ながら、沖縄料理に舌鼓を打てるという、愉(たの)しい趣向なのだ。
 沖縄に限らず、郷土芸能の歌や踊りを観ながら食事をできる店はよくあるのだが、この『カラハーイ』はそれらとは一線を画していて、本格的な沖縄音楽を中心としたエンターテインメントなのだ。
 日曜から金曜までは〈ティンクティンク〉などのグループライブで、土曜日はホテル名の由来ともなっている〈りんけんバンド〉のショーが行われる。
 ステージは19時から20時半までの1時間半だが、18時の開場から21時のクローズまで、3時間ゆっくりお酒や食事を楽しめるのがなんともうれしい限りだ。
 ここで供される料理は、隣のホテルレストランから運ばれ、名物の〈美浜ロール〉や〈てびちの唐揚げ〉、〈ゴーヤーチャンプルー〉など、郷土色豊かな料理を、泡盛や〈オリオンビール〉と一緒に味わえる。
 リゾートホテルと本格的なディナーライブシアターが一体となる。これまでの日本では、ありそうでなかったエンターテインメントだ。
 上質の料理とステージの競演は、感動的な食の時間を与えてくれる。ここが先駆けとなって、日本中のリゾートに、こんなシアターレストランが増えれば、どれほど食事が豊かになるだろうか。考えただけでワクワクする。
かしわい・ひさし
1952年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業後、京都市北区に歯科医院を開業。生粋の京都人であり、かつ食通でもあることから京都案内本を多数執筆。テレビ番組や雑誌の京都特集でも監修を務める。小説『鴨川食堂』(小学館)はNHKでテレビドラマ化され続編も好評刊行中。
『グルメぎらい』(光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『憂食論 歪みきった日本の食を斬る!』(講談社)など著書多数。
PAGE...1|2
LINK
GOURMET
食語の心 第76 回 沖縄のホテルの食 2
>>2019.7.30 update
TRAVEL
那覇の新・美食リゾート
>>2020.2.28 update
TRAVEL
Many Hotels, Many Minds Vol.2
>>2014.7.29 update
TRAVEL
心地よさに包まれる オキナワのリゾート時間
>>2011.4.26 update
TRAVEL
南国の海に遊ぶ
>>2020.2.28 update

記事カテゴリー