
(右から)エスキスのエグゼクティブ シェフであるリオネル・ベカ、輪島のラトリエ・ドゥ・ノトの池端隼也氏、七尾のイタリア料理店ヴィラ・デラ・パーチェの平田明珠氏。輪島出身の池端氏はフランスでの修業経験があるため、フランス語が堪能。リオネルとはフランス語で会話し、リオネルの考えたテーマややりたいことをイタリアンのシェフである平田氏に伝えた。よいコミュニケーションがとれ、最終日は仲良く料理を楽しむ3兄弟にしか見えなかった。
「能登に来ると必ず、朝の7時半には海岸を散歩しました。すると毎日、異なる方向から風が吹いてきて、風に乗ってくるにおいも違う。それに、刻々と天気が変わるのです。ある日は、雨が降ってきたかと思えば晴れて、今度は雪が降って、雹(ひょう)になって、夜はものすごい暴風。こうした厳しい気候が大地に力を与えているのだろうし、能登が半島であることが、〝能登〞を特別なものにしていると実感しました。それに能登の人は、一人ひとり独自の〝時計〞を持っていて、その時間で生きている。それは私たち東京人とは異なる時計なんです。塗師の赤木さんも、一緒に料理を作った池端隼也さん、平田明珠さんもそうです。こうした人たちと交流を重ねるに連れ、能登は確固とした哲学を持っている人々が集まっている場所なのだと思いました」
冷たい北風が吹く厳しい冬の能登でリオネルが感じたのは、ここに生きる人たちの強さ、そして信念だった。だから、彼らと自身とに共通する〝物語〞を見つけ、それを指針にイベントをつくり上げようと考えた。
冷たい北風が吹く厳しい冬の能登でリオネルが感じたのは、ここに生きる人たちの強さ、そして信念だった。だから、彼らと自身とに共通する〝物語〞を見つけ、それを指針にイベントをつくり上げようと考えた。