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ソムリエ 若林英司(わかばやし・えいじ)
1964年長野県生まれ。小田原「ステラ マリス」、恵比寿「タイユバン・ロブション」のシェフソムリエを務め、「レストラン タテル ヨシノ」の総支配人に。2012年から「エスキス」の支配人兼チーフソムリエに、2016年からは「アジル」の支配人兼チーフソムリエを兼任。
「日本料理はもともとですが、フランス料理やイタリア料理も、食材を前面に出したり、ハーブやスパイスの香りを軽やかに組み合わせるものが多く、重厚さは影を潜めています。なので、これからのワインで求められるのは、旨みの要素がしっかりありつつナチュラルで、葡萄の味わいが深く、かつヘビーじゃないという性質。日本は重いワインを造る必要はまったくない、と思います」
 と同時に、日本料理に合う、かつ洗練されたワインがもっと増えれば、と若林さんは期待を込める。
「日本ワインの香りのニュアンスには、味噌や醤油といった日本の発酵食品の風味があるので、基本的に日本料理と日本ワインは調和します。ただ、家での食事に合う日本ワインはあるのですが、洗練された和食に合う、ナチュラルかつ繊細で格調高いワインは少ない。ここが充実すれば、海外へのインパクトという意味でも、可能性が一気に広がるはず」
 さらに若林さんは、“世界の中で、日本ワインの存在感を高めるには"という視点で考えた場合、最も効果的なのは、ずば抜けたトップキュヴェが登場することだという。
「要は、ロマネ・コンティやオーパス・ワンのような、誰もが名前を知っている王者のようなキュヴェ。『日本にはあのワインがある、すごいね』と海外の人がイメージする、その核になる存在があると、日本ワインの認知度は桁違いに上がります」
“繊細"という言葉でよく表現される日本ワインの在り方と、“世界の圧倒的"なトップキュヴェの在り方を両立させることはできるのか。
「まあ、難しいでしょうね(笑)。でも、方法はあるかもしれない。今の日本ワインの進展を見ていると、いつかそんなキュヴェが生まれてもおかしくないのでは、と思います」
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