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(左)瓜、茄子、生姜、赤紫蘇などが入っている金山寺味噌。(右)金山寺味噌の黄金色のたまり汁が醤油のもととなったと言われる。

発酵食発祥の地・和歌山 ⻆長
Photo Satoru Seki
連載 食材紀行
日本人にとって最も身近な発酵食品である醤油と味噌。その始まりは和歌山県にある。和歌山県が発祥の金山寺味噌は、一番古い味噌の原型の一つとされる。金山寺味噌は、鎌倉時代、僧・覚心が宋に渡り、径山寺(ぎんざんじ)での修行の傍ら味噌の製法を学んだ。帰国後、紀州由良の興国寺を開き、味噌の製法を伝えたとされている。金山寺味噌を造る中で、ある発見があった。それは製造過程でできる黄金色のたまり汁が、旨みのある独特の風味をしていることだ。この旨いたまり汁こそが、醤油のルーツである。醤油は、美しい水と海運に恵まれた湯浅の町で発展し、江戸時代には紀州藩の手厚い保護を受けて92軒もの醤油醸造元があったという。産業として確立された湯浅の醤油造りは、今なお変わらぬ伝統製法を、1841(天保12)年創業の⻆長が守り続けている。
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