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神田裕行 真味只是淡
第二十四回
Photo Masahiro Goda
 「和食」について話したいと思う。
 私は常々「かんだは日本料理屋である、私が作りたいのは日本料理であり、和食ではない」と、言っている。これは頑迷な職人の言葉ととらえられるかもしれないが、私の意見を聞いてほしい。
 「和」の音読みの「わ」という言葉は、そもそも「倭人」という名で歴史に登場するが、これは日本人が付けた言葉ではない。「委ねる人」と書くわけで、我々に従う人たちの意味で、中国人が我々を「倭人」と名付けたことから始まる。が、本来は、「わたし」や「われわれ」のように、自分や自分たちを指して、「わ」と呼んでいた私たちの祖先は、これを「和」と代え、「われわれの」という意味合いで使い始めたと思う。
 これが「古今和歌集」というタイトルに反映されているが、この頃の「和」も、まだ「われわれの」という意味合いが強かったのではないだろうかと考える。
海胆と胡麻だれの素麺
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