PAGE...1|2
開始して1時間もかからず、解体して部位に分けられた。手前右からロース( 皮あり、なし)、モモ、ヒレ、シンタマ、奥右から前肩、モモ、外モモ。こうして素早く適切に処理された鹿肉は、なめらかな肉質、繊細な香り、クセのない味わいだ。
 「猟師は、獲(と)った獲物を人に売ったりすることは禁止されています。だけど、処理場でさばいたものなら販売許可が下りる。そうすれば鹿肉などを売ることができると、私のところで食肉処理業者の資格を取ったのが8年前です。
 若桜町の場合、鹿を1頭捕獲すると奨励金として2万円がもらえます。しかし、駆除した後の残骸は猟師が自分の土地に穴を掘って埋めるなどしなければなりません。だから、ここには駆除した鹿や猪がいろいろと持ち込まれるんです。おいしく食べてもらうためには魚と同じで、捕獲の仕方や放血の仕方を変える必要がありました。猟師たちに根気強く指導して、いいものが入ってくるようになりましたが、それでも食用と、ペットフード用、産業廃棄物と区分けしています。おいしいジビエを提供するためには、個体を見分けることも重要ですね」
 もう顔を見れば、その鹿や猪の質が分かるという河戸さん。険しい因幡の山で育った野生の鹿は、運動量が多いため、締まったきめ細やかな肉質で、 野山の恵みを食べて育ったため、味に深みがあるという。その上、河戸さんが〝目利き〞して、素早く下処理をしたジビエは、鳥取県内や都内のレストランからも引き合いが多い。ここ3年くらいは料理人たちの意見を聞きながら、彼らが料理しやすい加工の工夫もしている。ほかにも、鹿肉の薫製ハムなどの加工品を若桜の道の駅で販売中だ。
 「これから夏鹿というキーワードが出てくるとうれしい」と河戸さん。害獣扱いの鹿は、ジビエの季節( 11〜2月)だけでなく、夏も捕獲できる。そして豊かな自然の中で育ち、適切な処理をしているのが、肉から伝わってくるという〝いなばのジビエ〞なら、その夢がかないそうだ。
PAGE...1|2
LINK
TRAVEL
冬の森で魂に響くグランピングを 星のや富士
>>2017.11.30 update
LIVING
北海道の自然が生み出すエゾ鹿のシャンデリア GR カンパニー オフィス
>>2014.11.4 update
CULTURE
MIHO MUSEUM 2016年春季特別展 「かざり ― 信仰と祭りのエネルギー」
>>2016.2.29 update
STYLE
丹波・松茸山物語
>>2014.10.3 update
GOURMET
リストランテ ホンダで ネスプレッソを楽しむ
>>2015.12.26 update

記事カテゴリー