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この日の朝獲った鹿のメス(3歳)。知り合いの猟師が持ち込んだものだ。それを手早く皮をはいで、内臓を取った、獣処理の名人、河戸健さん。ここからは鹿をつるし切りにし、細かく部位に分けて真空パックに。とにかくスピードが勝負だという。
森の贅沢を食す
Photo Masahiro Goda Text Nile’s NILE
日本海と山々に囲まれ、豊かな自然を誇る鳥取県。その東部、かつて因幡国と呼ばれたこの地域には、滋味あふれるうまいものがある。昨年の秋、山にはジビエの季節がやって来た。そのころ因幡を訪れた。
最近、山あいの地域に行くと、「鹿が松茸とかおいしいものを食べちゃってね」と鹿が増えすぎて有害獣になっているという話をよく聞く。鳥取県東部の因幡地方でも、鹿や猪による農作物などへの被害が深刻で、殺処分されているのが現状だ。こうした〝有害獣〞を有効活用するため、若桜(わかさ)町ちょうでは、食肉解体処理施設「わかさ29(にく)工房」を建設し、「鳥取県『イノシシ・シカ』解体処理衛生ガイドライン」に沿って処理した獣肉(ジビエ)の加工・販売などに力を入れている。また、「いなばのジビエ推進協議会」を立ち上げ、猟師、食肉処理業者、飲食店、商工会、自治体など官民一体となって、おいしいジビエを提供する努力もおこたらない。
 「鳥取県産の鹿肉は、身質が締まっていて香りがきれい」と評判だが、味、香りの決め手となるのは下処理だ。その中心的な役割を果たしているのが、若桜町の「わかさ29工房」だ。ここには、若桜町や八頭町(やずちょう)で捕獲された鹿などが持ち込まれる。そして、猟師であり、食肉処理業者の河戸健さんが、ものすごいスピードで鹿を〝料理〞する。河戸さんのその技を見ると、東京の料理人たちは、〝いなばのジビエ〞の肉質や香りのよさを実感して帰るという。
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