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鳥取いなば農業協同組合郡家支店柿生産部で選果委員長を務める細田正治さん。柿を手で持った時に、表面に指のあとが付くくらい柔らかくなったら“食べごろ”。細田さんの花御所柿は40~50年ものだそう。
花御所柿は11月下旬に収穫期を迎える晩生の甘柿で、糖度が20度以上にもなる。かたい状態ではほんのりと渋みが口に残ることがあるのでよく熟れて少し柔らかくなったころ食べると、とろりとした舌触りと甘い果汁があふれみずみずしい。12月上旬まで収穫されており出荷量の6割は贈答・進物用として販売されている。
「12月上旬になるとこの辺りは、〝柿の花〞が咲いて、まあきれい。ここでしか見ることができない自慢の風景ですね」
 とにこやかに話してくれたのは、この地で約50年、柿を生産している細田正治(まさはる)さん。細田さんは、鳥取県が近年開発した「輝太郎(きたろう)」、古くから栽培が盛んな「西条」「富有」「花御所」といった柿を約55アールも作っている。いわば柿一筋の生産者だ。
 ベテランの細田さんにとっても「花御所の栽培はとても難しい」という。へたの割れや果実の表面の汚れが現れやすいなど栽培には苦労が多いのだ。また熟れているかどうかを見分けづらいそうで、専用のハサミで一つずつ丁寧に収穫する時もかなり気を使う。
 細田さんに花御所柿の栽培のコツを聞くと、「ほかの果物もそうだと思うけど、とにかく日の当たる場所で作ること」だと教えてくれた。そのため、柿の木は3m間隔で植えられていて、実際にその場所に行ってみると、柿の下にはかなりの空間があり、すっきりした印象だ。
「あと、できるだけ実がつく場所を想定して、そこに日が当たるように剪定(せんてい)します。もちろん、実がつき始めたら摘果もします」
 だいたい柿の木1本から150〜200玉程度収穫しているそうだが、これは計算しているわけではなく、全て長年の経験と感覚をもとに栽培しているそうだ。
 この地にだけ毎年咲く〝柿の花〞。それは花御所という名の通り、みやびで優美な光景そのものである。
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