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(左上から)マントルピースのための6本のレンガ煙突は、瓦屋根に言い知れぬ変化を持たせている。/特徴的な八角形の尖塔にも円形の換気窓がある。ゴシック様式を代表する尖塔があるだけでその趣は変わる。/2階にしつらえられたテラスの窓。当時の意匠を施した繊細な作りが美しい。/八角尖塔の窓。ゴシック風の味わいを加えるとともに、らせん階段に自然光を差し込ませている。/セグメンタルぺディメント(くし形破風)の中央には、六芒(ろくぼう)星に揚羽が装飾されている。/1階テラスの柱。1階2階ともにテラスを設けて軽快優美な様相を呈している。/鳥取城跡に立っているフレンチルネサンス様式の仁風閣は国の重要文化財である。/正面玄関。前には車寄せが設けられ、馬車や車が通る道は白い砂利が敷き詰められている。/窓の周辺などにも、細やかな装飾が施されていてあちらこちらと見ごたえがある。
「仁風閣は、さいわいにも現在なお外貌はそこなわれてはいません。屋根などはこわれていますが、遠くからながめても品格は高く、立派であります。また正面玄関に近寄って仰ぎ見るとき、二階の窓の線を追ってながめるとき、その美しさはいっそうよく理解出来ると思います。威厳のある均等の美しさを認めないわけにはいかないでしょう。裏庭に回ってみても、その露台や西側の塔の姿も、私の目にはなかなか好ましくうつる端麗な風景の一つであります」(『吉田璋也の世界』より)
 門を入って砂利道を歩き、目隠しに植えられた松の木の間から外観を仰ぎ見る。堂々とした建築はいかにも洗練されていて、瓦屋根にはルネサンス様式に多いクラウン(王冠)型の棟飾りが施されている。外観に個性をもたせているのが、六つの煙突と円形の換気窓。正面右側には特徴的な角尖型の塔があり、これは階段室となっている。 
 フレンチルネサンス様式を基調とした木造瓦ぶき2階建ての建物は、まさに当時の建築美の粋といえるものだったろう。皇太子の鳥取行啓の折には、県下で初めてとなる電灯がともされ、室内のシャンデリアとイルミネーションが鳥取の夜空を華々しく彩った。その明かりは、鳥取に明治の文明開化の到来を感じさせたに違いない。 
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