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鳥取市の海岸に広がる鳥取砂丘。遮るものが何もないため、風が強く感じられる。広大なだけでなく、場所によっては起伏もかなり大きい。風によって形づくられる風紋など、自然の美観に触れられる。
鳥取砂丘
Photo Masahiro Goda Text Rie Nakajima
「浜坂の遠き砂丘の中にしてさびしき我を見出でけるかも」
 1923(大正12)年、鳥取市に講演に訪れた小説家の有島武郎が、鳥取砂丘に案内されて詠んだ歌である。約1カ月後、有島武郎は軽井沢の別荘で婦人記者の波多野秋子と情死し、これが遺歌として注目された。鳥取砂丘に今も残る有島の歌碑から、ほんの500mほど先に、有島と親交の深かった与謝野晶子の歌碑が立つ。夫の鉄幹とともに、鳥取砂丘を訪れた時の歌だ。
「砂丘踏みさびしき夢に与かれるわれと覚えて涙ながるる」
 雄大な砂丘の風景を見ながら、旅立った友を偲(しの)んだのであろう。中国山地から流れる千せん代だい川がわと風が運んだ砂が、10万年といわれる気が遠くなるような歳月の中で積み上げられた広大な砂丘は、数々の文学者だけでなく、多くの人々を魅了してきた。その広さは、南北2・4㎞、東西16㎞に及ぶ。「馬の背」と呼ばれる名所では、標高が48mもあるという。膨大な砂の山を前にして、日本にこれほどの非現実的な風景があったことに圧倒される。
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