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食語の心 第32回
作家 柏井壽
京都の街の中心地とも言える河原町御池(かわらまちおいけ)。夏に行われる祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行では、この角で辻回しが行われ ることから、多くの見物客が押し寄せる場所だ。
 北東の角には、京都の老舗ホテル「京都ホテルオークラ」があり、北西の角には、レトロな建築が残る京都市役所が建っている。
 ここに市役所前広場があり、市民の憩いの場となっている。ベンチに 座ったお年寄りがパンくずを撒(ま)くと、たくさんの鳩(はと)が舞い降りてくる。ベビーカーを押すお母さんが、それを見て歓声をあげる。
 そんな、のんびりとした広場が、 最近は仮設テントだらけになり、時ならぬ行列があちこちにできるのだ。
 ほぼ毎週といっていい。様々な食フェスが開かれるのである。いわく〈肉フェス〉、〈京都メルカート〉、〈京都パンフェスティバル〉などなど。  
 フェスという言葉が付いているが、見たところ、学園祭の屋台と大差はない。キャンパスと異なるのは、そこに群がる客たちが皆、立派なおとなだということ。  
 たとえば〈肉フェス〉。京都の有名肉料理店が屋台を出す。焼肉もあれば、今流行(はや)りの熟成肉ステーキもある。ハンバーグもある。となれば、 当然のごとく煙もうもう、バーベキュー臭が辺りに広く蔓延(まんえん)する。
 これが土曜日曜の二日間に渡(わた)って 行われるのだから、近隣住民は大迷惑だろう。
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