PAGE...1|2|3
太刀魚蒲焼き重
「最初の一を金とせず」
 唐九郎は一度自らが生み出した秀作をあえて割り、それと同じものをもう100個作り、その中から真の傑作を生み出そうとした。
 偶然に生まれた最初の秀作を金とせず、さらなる可能性と高みを目指すために最初の一をあえて壊す。
 これを知った当時30歳前後の、料理長として鼻息の荒かった自分は、次々と湧き出る稚ち 拙せつなアイデアをよく練りもせずにお客様に提供していた。閃ひらめいた料理を金と思い込み、その精度を上げる努力をしなかったのは、実際には時間的な余裕と経験値が足りなかったのだろうが……。
 料理は基本的に楽しいはずで、それを楽しみながらも仕事として熟練していかなければ、お客様に楽しんでもらえない。独り善がりの料理は、どこか卑屈でつまらないものだ。
PAGE...1|2|3
LINK
GOURMET
神田裕行 真味只是淡 第二十六回
>>2016.10.19 update
GOURMET
蓋色食成性 天真爛熳
>>2013.11.22 update
GOURMET
“東京最高のレストラン” 5人にインタビュー
>>2009.1.13 update
GOURMET
神田裕行 真味只是淡 第二十回
>>2016.4.14 update
GOURMET
椀味不只淡 第9回
>>2013.12.24 update

記事カテゴリー