
イワシとウイキョウのサラダ。だいだい酢で「サバのような感じ」に強く締め、「カルパッチョにレモンをはる」ように臭み抜きにウイキョウを合わせた。香草パン粉でニンニクをあおった“衣”の食感もグッド。
グローバルな調味料にはなれない
―いろいろなめて、日本の酢に対するイメージは変わりましたか?
若林 多彩ですよね。同じ米酢でも米の種類で風味が違うし、黒酢にはコーヒーの香りがするものや、樽熟成したバーボンのようなものもある。果実酢は素材の味がそのまま感じられて面白い。いろんな質の酸味があって、世界観が広がりました。ただ、洋につなぐというのは……
飯塚 辛いかな。火を入れると酸が飛ぶ、最後に振りかけてアクセントにするには弱い。日本料理でも最後は、すだちをギュッと搾るなどして、フレッシュでキレのある酸で仕上げますよね。酢ではないんですよ。
本多 イタリアンもカルパッチョにレモンを搾るとか、仕上げは酢よりも酸味の強い果汁が多いですね。そういう意味では、果実酢ならより強いアクセントづけに使えますね。
飯塚 僕があえてフレンチに日本の酢を使うとしたら、赤ワインを使わない煮込み料理で、タマネギを焦がしめに炒めて、シェリービネガーっぽい黒酢を入れるとか。バターを入れてフレンチらしくして……
本多 ムリクリですよね。
飯塚 ムリクリ、ムリクリ。酢飯を作る時にワインビネガーを使おうと思わないのと同じで、洋の料理に日本の酢はイメージしにくいですね。
若林 日本料理には基本、酢を詰めて旨みを引き出す技法がなくて、隠し味とか、二杯酢・三杯酢みたいに何かに調合したり、ジュレにすっと張ったりする使い方。だから、詰めた酢の旨みをのっける洋のソースなどに合わないんでしょう。日本の酢だと、やさしいけど訴えてくるものが弱くなってしまうから。
―酢は醤油のようにグローバルにはいかないもののようですね。

丸なすとフルーツトマトと夏野菜のマリネ。すだち酢を使用。丸なすにはミツカン酢入りニンニクのバーニャカウダを。「夏にイタリア人が前菜でバクバク食べてくれるイメージで作りました」と本多。
●Ristorante Honda
東京都港区北青山2-12-35 1F
TEL03-5414-3723 ristorantehonda.jp
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