


(上)夏の風物詩、ジャングルの蛍。小さな体から鮮やかな光を放ちながら乱舞する姿はとても儚く、幻想的だ。(下左)ヤマネコ注意の標識が随所に見受けられる。(下右)小型だが野性味あるイリオモテヤマネコ。
日が落ちるとジャングルには別の世界が息づく。日本一小さいヤエヤマヒメボタルの群れが、漆黒の密林に金粉が撒かれたような乱舞をみせてくれる。また、7月の短い期間だが夜中に開花し、一夜で散ってしまう幻想的なサガリバナが川面を覆う。
だが、なんといってもお勧めは、イリオモテヤマネコの足跡をたどるナイト・ツアーだ。20世紀に発見された原始的なネコ類として世界的にも話題を集めたイリオモテヤマネコ。
ホテルでは毎晩「やまねこの学校」を開き、詳しくその生態を教えてくれる。国の特別天然記念物として、現在は西表島にだけ約100頭が生息するという。
島民でも実際に目にした人は少ないようだが、専門のガイドによるナイト・ツアーではかなりの確率で遭遇できるようだ。蛇や蛙だらけになる夜道を東西に走り回ること約3時間。遂にイリオモテヤマネコの好物の蛙が群れる水田で、月明かりに射るように光る二つの目に出会う。地元では昔からピカリヤーと呼ばれてきたことに納得。