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食語の心 第27回
作家 柏井壽
他の地方ではさほどでもないのだろうが、京都では連日のように、和食に関するニュースが流れる。
 地元の新聞はもちろん、関西ローカルの、テレビのワイドショーでも、何かといえば和食が話題になる。
 つい先日も、〈和食の国際化を考える〉をテーマに、シンポジウムが開かれたとの新聞記事が大きく掲載された。
 そもそもが、和食を国際化させようとすること自体に無理があると、僕などは思う。それは少しばかり、海外に目を向ければ分かることであって、例えばフランス料理、もしくは中国料理などが、国際化を目指すなどという話は聞いたことがない。きっと彼らは一笑に付すことだろう。なぜ自国が誇る料理を、グローバルなものにしなければならないのか。
 世界に類をみない料理だからこそ、世界遺産として認定されたわけであって、国際化という言葉に馴染まないのが、和食の本質なのである。
 何かといえばグローバル。その流れに乗ろうとしているのだろうが、料理人たちは自ら墓穴を掘っているように見えて仕方がない。
 きっとそこを突いたのだろう。著名な日本文化研究家が、「無形文化遺産登録後、格付け本に載る料理ばかりが注目され、生活に根ざした料理が下火になっているのでは」
 と疑問を呈した。と記事にある。
 これに対して、京都の料理屋界を代表して出席していた料理人は、「外国人に発信するには、ランキングのようなわかりやすさも重要なことだ」
 そう反論したそうだ。
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