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初鰹銀作り 辛子添え
つまりは、プランクトンを鰯が追い、その鰯を追って鰹やマグロや、時には鯨までが大デレゲーションとなって、日本の太平洋沿岸に押し寄せるという構図が出来上がるのだ。
 私の聞き込み調査によると、どうやら太平洋側にいるのは片口鰯で、これが房総半島を越えて親潮の気仙沼あたりに行くと、真鰯になる。つまり鰹やマグロは片口鰯を追って房総半島に到達し、真鰯を追って親潮を北上、しかし海水の冷たさに押し戻され、鰹は戻り鰹になる。マグロだけは魚体が大きく強いのでそのまま北上を続け、津軽海峡を経て日本海まで鰯を追う。
 プランクトンとは海洋性浮遊物の総称であるが、シラスは日本人の大好きなプランクトンと言えるだろう。ほんのりと潮が香る甘い身にすだちをかけ、錦糸卵で和えればなんとも上品な初夏の前菜だ。鯵や鯖もこの黒潮に寄り添う青魚の大群の一員であるが、実は彼らは黒潮から外れて沿岸近く、あるいは湾や内海に入ってからがおいしくなる。いわゆる関あじや関さばがその好例であるが、これらは群れから離れ、海底の岩礁に根付き、餌を捕食する。つまりは海面でプランクトンを食べる生活から抜け出した彼らは、海底に移動することで水圧を得て身が締まり、より高たんぱくな餌を食べることで旨(うま)みが増す。
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