
奥田透と小十の面々。冬場は毎日、カニをほぐしまくり。繊細さを要する大仕事だが、“分業制”で「30杯、2時間」のスピードでこなすという。
「昔、塩釜で魚市場を営む親戚のところで、大みそかに正月用の毛がにを食べたことがあるんですよ。ゆでるか蒸すかした熱々のカニを、バサッと広げた新聞紙の上にドンと載せてね。パキパキと脚を折り、身をほじくり出して食べたら、これがめちゃくちゃうまい! 浜ゆでして冷たくなったカニをカニ酢で食べるのとは段違いでした。冷たいと一口、二口目はおいしいけど、すぐに『もういいかな』って飽きちゃう。でも、温かいと『もっと、もっと』に変わるんです。セイコガニの蒸し料理もね、最初は冷たいまま食べてたんですが、何か気分が盛り上がらない。『カニってもっと興奮しなかったっけ? 何だろう、この物足りなさは。そうだ、冷たいじゃん』と気づいて、もう一回蒸して温かくしたんです。同じ理屈で、焼きガニも熱さが生命線です。あと、甲羅・殻の厚さね。炭で焼くと、ここからおいしい汁が出て、いい味付けをしてくれます。外側が焼けて、真ん中にほんのり火が通ったくらいの層になってるのが理想。その絶妙なグラデーションがほしいから、厚みにこだわります」
言われてみれば、今回のカニ料理4品は全て温かい。蒸しもの、焼きガニに加えて、カニご飯もすり流しも熱々。口から湯気を出しながら、一気にフィニッシュしたい感じだ。
言われてみれば、今回のカニ料理4品は全て温かい。蒸しもの、焼きガニに加えて、カニご飯もすり流しも熱々。口から湯気を出しながら、一気にフィニッシュしたい感じだ。