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トロードス山脈の麓にある首都レフコシアは、1974年のトルコ軍侵攻以来、南北に分断されている。ベネチア統治時代の城壁に囲まれた旧市街地の繁華街に、南北キプロスの停戦ラインである分断線の検問所があり、比較的自由に出入りできる。この分断線はキプロス島を東西に横断し、南北に分けている。
 レフコシアにはキプロス最大の考古学博物館があり、新石器時代からビザンチン時代に至る展示物が所狭しと並ぶ。紀元前3000年、豊穣を願ったとされる十字状の女性像とアフロディテの大理石像を比べると、女性美の変遷がうかがえる。
 レフコシアや海辺の商都レメソスなど、金融業を背景に潤う南部の街は今日急速に発展している。レメソスには高層建築も多く、2020年にマカオ資本の地中海最大のIRが開業する。一方で、レメソスとパフォスの中ほどには、紀元前4世紀に遡る都市王国の遺跡である壮大な古代クーリオン遺跡が残されている。
 きれいに再現されたモザイク床、大浴場跡……圧巻は、紀元前2世紀に造られた3000人収容の円形劇場だ。丘の斜面を利用して、海を背景にして中にある舞台が望める造形になっている。全体が自然のアコースティックをとりいれ、声がよく反響するように工夫されている。昔の人々はここでどのようなドラマを楽しんだのか。数年後に完成するというIRは、数千年後の人々の想像をかきたてるような舞台を残すことができるだろうか。

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