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アフロディテに誘われ
地中海の東果ての島へ



Text Koko Shinoda
Thanks to Cyprus Deputy Ministry of Tourism
ギリシャ神話によると、地中海の西の果て、奈落との境をアトラスと呼ばれる神が支えていた。一方、東端、バルカン半島に守られた東地中海に浮かぶキプロスという島には、美と愛と性の女神、アフロディテが西風に運ばれてたどり着いた。
 アフロディテは後にローマ神話でヴィーナスと呼ばれ、ボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」で貝に乗って浜辺にたどり着くシーンが広く知られるように。海の泡から生まれたともされるアフロディテは、豊穣な海の美の結晶ともいえる。
 キプロスにアフロディテが上陸すると、島は色とりどりの花で覆われたという。アフロディテはこの島の美しい海と地をこよなく愛した。オリンポスの天空へ帰ってからも、アフロディテはたびたびキプロスに戻ってきたらしい。
人々もまた、愛をふりまくアフロディテを崇拝し、紀元前12世紀にキプロスの丘に築かれた神殿は、アフロディテ信仰の巡礼地として賑わったという。今では、海を一望にする激しい海風が吹く丘の上には、円柱と土台の石組みが僅かに残されているだけだ。
 地中海の眩い太陽で、サファイヤのように輝く海を背景にその陰影ばかりが鮮烈な存在感を増す。穏やかな海に見えるが、キプロス島周辺には難破船が多い。海風の孕むアフロディテの艶やかな声に、水夫たちが惑わされからだろうか。


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