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 なお、バーナンキ・ショック後の2013年7月に日経平均株価は1万4953円までいったん大きく値を戻すものの、そこから再び大幅に調整して同年8月には一時1万3188円の安値をつけた。この水準が、いわゆる「二番底」と呼べるものであろう。つまり、今回のような株価急落場面で一番底をつけてからいったん反発し、後に二番底をつけるまでには、およそ1~2カ月程度という時の経過を要する可能性があるということである。
 ちなみに、この年(2013年)は年末にかけて1万6320円まで再度大きく値を上げる展開となった。つまり、株価急落からおよそ半年後に従前の高値を奪回し、年初来高値をつける動きとなったのである。このパターンを参考とすれば、日経平均株価が年度内に再び2万1000円台を目指す展開となってもおかしくはなかろう。
 そもそも、日々孤軍奮闘する国内上場各社の業績は今期も大幅な増益が見込まれている。日経平均構成銘柄の今期業績は4―6月期決算発表時の会社予想ベースで前期比10.9%の増益が見込まれており、こ
れは今回の世界的な株安連鎖の影響を考慮してもかなり控えめな見通しであると考えられる。ちなみに、今回の株価急落に見舞われる前の証券会社のアナリスト・コンセンサスは19%程度の増益見通しであり、これはさすがに下方修正が必要かもしれない。
 10.9%増益を前提とするならば、今期の日経平均構成銘柄の平均1株当たり純利益は1256円となり、これにリーマン・ショック後の平均予想PER(株価収益率)=15.1倍を掛けるとおよそ1万9000円が妥当水準(フェアバリュー)の中心値ということになる。もちろん、予想PERを17倍程度まで見積もれば、2万1000円台はあらためて狙っていい水準と言える。中国政府・当局が一段の政策対応に踏み切れば、株価はおのずと真の実力に見合った水準を目指すものと期待したい。
(左)THIS MONTH RECOMMEND
命を元気にする「懐かしい未来」を拓く
マネー資本主義が“どんづまり”となった今、それにとって代わるものとして「登場するしかないのが里海資本主義」と著者は主張する。なかで、とくに印象深かったワードは「懐かしい未来」。そこには、人と自然が手を携え、支えあい癒やしあう、どこか懐かしい情景と日常があり、そこに住む命はもっと爆発するし、それぞれの命はもっと元気になると説く。おそらく、多くの人々はすでにそのことに気づき始めているのではないか。
(『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』井上恭介 NHK「里海」取材班/角川新書/ 864円)

(右)田嶋智太郎(たじま・ともたろう)
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com
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