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明治軒2代目、井本一民さんが、タイル一枚までこだわって建てたという店舗ビルの前に、見習いから熟練まで料理人たちがズラリ。中央が2代目一民さんの妻の啓子さん(現社長)、その左隣が一民さんの弟の隆清さん。
変えないオムライス レストラン 明治軒
ひとさじ、すくうと、オムライスに具がないことに軽く驚く。だが、旨い。もちろん、ただのケチャップライスではない。肉や野菜、さまざまな味がして、探っているうちに、どんどんさじが進む。
「明治軒のオムライスは、昔からこの味。これだけは、変えてはいけない味なんです」と明治軒の社長、井本啓子さんは言う。
 実は、オムライスは具がないのではなく、牛肉のミンチや玉ねぎなどの具材をペースト状にしてから調理しているため、「具が見えない」のだ。具材を無駄なく使い、味わいにも深みが増す、秘伝のレシピ。考案したのは、1925(昭和元)年に明治軒を創業した初代、井本安蔵さんである。もう一つ、啓子さんが「どこにもない味」と言い切るのが、串カツ。大きなブロック肉を棒状に切り出し、ひたすらたたいて、伸ばして、伸ばして、柔らかくして、上質のラードで揚げる。これを特製だれにくぐらせれば完成だ。なんてことのない、シンプルな料理だが、肉の厚みも揚げ加減も絶妙だ。
「『若い頃、お賃金をもらったら、飛んで買いに来てたんだよ』というような、長年のファンの方がたくさんいます。だから、変えられないんですよね。何があっても、オムライスと串カツだけは守らないと」
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