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富豪の町、タリータウンへ
Text Koko Shinoda
マンハッタンからハドソン川を北上、富豪の町、タリータウンへ
マンハッタンのセントラル・ステーションの雑踏に交じると、ニューヨーカーになったような気になる。ハドソン川沿いに北に向かう電車に乗り、ハーレムやヤンキースタジアムを過ぎると、緑豊かな丘陵地帯が続く。
 かつては輸送手段であった川船が往来したため、河岸にはアーリーアメリカン調ののどかな町が点在する。小一時間で着くタリータウンもその一つだが、マンハッタンに近いこともあり、20世紀後半から成功した事業家らがこぞって豪邸を建てた。
 その中でも有名なのが「世界一の富豪」ともいわれた、スタンダード石油の創設者、ジョン・D・ロックフェラーの豪邸「キクイット」だ。オランダ語で高い所を意味するごとく、小高い丘の上に40の寝室を有する重厚な館が建つ。
 この本宅を中心に3400haに及ぶ敷地には、庭園や森、池や川、馬場やゴルフ・コースまである。が、一族はもはやここには住んでおらず、現在はロックフェラー財団の管理下、観光客に向けて予約制のツアーが催行されている。
 ミニ・バスでの半日ツアーでも全て回り切れない規模だが、全体的には華美さはなく落ち着いた佇まいだ。ロックフェラー氏は極めて信心深く、ストイックな日常を好んだという。本宅に設けられた簡素な礼拝堂で、世界一の富豪は何を毎日祈ったのだろう。
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