世界遺産登録の目的は本来、顕著で普遍的な価値のある文化、歴史的遺産を人類共通の財産として次世代に伝えていくため、恒久的に保護することにある。とはいえ、登録後に地域の知名度が世界的に向上し、多くの経済効果が見込めるということも事実で、地域がそこに生き残りのための活路を見出そうとするのも当然である。
実際、1995年に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」では観光客が登録前の約3倍に増えた。2007年に登録された「石見 銀山遺跡とその文化的景観」では、年間約30万人であった来訪者数が登録後に一時70万~80万人にまで増加した(近年は40万~50万人程度に落ち着いている)。
当該地域に縁も所縁もない人にとっては、あまり関わりのない話のようにも思えるが、実のところ株式投資家の視点から見れば、そこには関連銘柄の株価上昇という妙味もある。登録された世界遺産が存在する周辺地域には来訪者が急増するわけであるから、その地域に根差してビジネスを営む上場企業の収益拡大にも大いに期待が持てるようになるというわけである。これも一つの経済効果だ。
先に登録された「明治日本の産業革命遺産」の例では、熊本県荒尾市で遊園地・ホテル・ゴルフ場などのリゾート施設を運営するグリーンランドリゾートや山口県から九州地域にかけてホテル事業を展開するアメイズ、北九州市を本拠にタクシー事業を展開する第一交通産業などの株価が一時急騰した。また、スターフライヤーや西日本鉄道など地域で旅客事業を展開する大手企業も関連銘柄として注目されることとなった。
2016年の候補は「長崎」であるから、あらためて前記の九州関連銘柄などに注目が集まることもあろう。2017年の候補は執筆時点では判明していないが、仮に「佐渡鉱山」であるとするならば、佐渡市内でもバス・タクシー事業を展開する新潟交通やホームセンターのコメリ、地元ゼネコン大手の福田組、フェリー・ジェット船運航の佐渡汽船、そして新潟県下に本拠を置く各地方銀行などが注目度を高める可能性があろう。
実際、1995年に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」では観光客が登録前の約3倍に増えた。2007年に登録された「石見 銀山遺跡とその文化的景観」では、年間約30万人であった来訪者数が登録後に一時70万~80万人にまで増加した(近年は40万~50万人程度に落ち着いている)。
当該地域に縁も所縁もない人にとっては、あまり関わりのない話のようにも思えるが、実のところ株式投資家の視点から見れば、そこには関連銘柄の株価上昇という妙味もある。登録された世界遺産が存在する周辺地域には来訪者が急増するわけであるから、その地域に根差してビジネスを営む上場企業の収益拡大にも大いに期待が持てるようになるというわけである。これも一つの経済効果だ。
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2016年の候補は「長崎」であるから、あらためて前記の九州関連銘柄などに注目が集まることもあろう。2017年の候補は執筆時点では判明していないが、仮に「佐渡鉱山」であるとするならば、佐渡市内でもバス・タクシー事業を展開する新潟交通やホームセンターのコメリ、地元ゼネコン大手の福田組、フェリー・ジェット船運航の佐渡汽船、そして新潟県下に本拠を置く各地方銀行などが注目度を高める可能性があろう。

(左)THIS MONTH RECOMMEND
地方が蘇る!?新たな思考法に出会う
常識を覆すイノベーションを生む新たな思考法、それが「デザイン的思考」であると著者は説く。換言すれば、既成概念をいっさい取り払ってあらゆる可能性のパズルを検証していく思考法ということになるのだが、結果として導き出されるアイデアはいたってシンプルとも言える。そこには、国や地域が今しのぎを削っている「地方創生」や「まちおこし」、「農商工連携」などの取り組みを成功に導くヒントがたくさん詰まっている。『里山を創生する「デザイン的思考」』岩佐十良著/KADOKAWA/1,404円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com
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