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(左)鱧の豚ひき肉サンド焼き
骨を抜いた鱧に豚のひき肉と蓮根、腸詰を少し刻んで入れた練り物を、包んで蒸す。その後、冷まして、表面に片栗粉をふって油で揚げる。広東料理の定番、ウスターソースと、山椒塩で食べる。
(右)花ニラの鱧のハムユイソースがけ
まずピーナツ油を敷いて、ハムユイにした鱧とニンニクを炒めて、香りが出てきたら、チキンスープを入れる。塩、砂糖、老酒を入れて煮込む。最後に薄くとろみをつけてソースが完成。旬の花ニラはさっと湯がく。
五島の鱧を軽やかに捌く
御田町 桃の木 小林武志
料理人、小林武志が最も得意とするのが広東料理である。今回の鱧というお題に、迷わず広東料理の核をなしているという順徳地方の家庭料理をアレンジした。
「川や池が多い順徳には、魚を開いて豚のすり身を詰め、揚げ焼きにする伝統料理があるんです。それを鱧でやってみようかなあと。それでね。和食では骨切りをしますが、僕はそれしないんです。なぜかというと、骨切りした身の断面から皮と身の間にあるジュース(脂)がどんどん出ていってしまう。それに身は切れているわけだから、はらはらほろほろとした食感しか出ないんです。骨を抜いちゃうと、実は少し身が崩れますが、骨切りした鱧とは違う弾力ある食感と、脂のうまみを出すことができます」
 鱧の骨の数は約3500本。簡単に「抜く」といっても相当な手間だ。小林と鱧の骨との格闘を間近で見せてもらった。まず身を観音開きにして、骨の場所を探りながら、片刃の和包丁を使い、刃先に骨が当たる所で骨の上の身を慎重に起こしていく。骨に刃先が当たって「ジョリ、ジョリ」という音。白い身の下に太い骨がたくさん見えてきた。骨の生え方を確認し、ラジオペンチで引き抜く。小林はこの骨抜きを中国の料理人に教えてもらったそうだが、そもそも中国では鱧を食べるのか。
「香港の北、福建省でたくさんとれますし、それ以南は2~4㎏と大きいのを好んで食べますね。鱧は大きければ大きいほど、脂がのってておいしいですから。ただ、大きいと骨が太い。だから中国では、ブツ切りにして蒸したり、煮たりします。料理する人も、食べる人も、骨なんて気にしないみたいです(笑)。僕も鱧の脂が好きですし、いつも長崎の五島から大きいのを入れてますよ。今日のは2㎏弱くらいかなあ。大きくなればなるほど、下ろしたり骨抜きする作業は、まさに〝格闘〞ですね」
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