
鈴木其一 「百鳥百獣図」 絹本着色 双幅 各138.0×70.7㎝ 1843(天保14)年 米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション
伝統と革新の鬼才・鈴木其一
近代日本画の先駆的な絵師と位置づけられるのが鈴木其一だ。18歳で江戸琳派の祖・酒井抱一(ほういつ)の弟子となり、抱一の叙情的で瀟洒(しょうしゃ)な画風を忠実に受け継ぎながらも、一方で自然界の景色を人工的に再構築する、独創的なアイデアとそのデザイン性に富んだ作風を確立していく。「夏秋渓流(なつあきけいりゅう)図屏風」では、現実離れしたビビッドな群青でうごめく軟体動物のように表現した渓流は、それまでの日本画にはなかった濃厚な画面を現出させた。其一の奇想を代表するのが「百鳥百獣図」である。写実的な自然描写とデザインとが調和した、より自由で挑戦的な其一の奇想である。