
長沢芦雪 「白象黒牛図屏風」 紙本墨画 六曲一双 各155.3×359.0㎝ 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
京(みやこ)のエンターテイナー・長沢芦雪
丹波篠山(ささやま)の下級武士の子として生まれ、円山(まるやま)派の祖である円山応挙に師事した長沢芦雪。応挙の写生画法を忠実にたどる弟子がほとんどの中で、卓越した描写力を礎に、奇抜な着想と大胆な構図で独自の画境を切り開いた。「白象黒牛図屏風」のように、屏風からはみ出すほどの大きさで、右隻の白い象と左隻の黒い牛が対照的に配置されており、象の背中には二羽のカラスがとまり、牛の腹には白い子犬が寄り添う。黒と白、大と小という対比二重構造となっている、見る者を楽しませる、エンターテイナー・芦雪ならではだ。「猿猴弄柿(えんこうろうし)図」に描かれた柿を大切そうに抱える猿。その毛描きは応挙ゆずりの写生画法だが、とぼけた表情には応挙らしさはまったくなく、これこそ芦雪独自のアバンギャルドなのである。