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岩場から二つの滝が流れ落ちる、水の庭。ライブラリー前には、納涼床がしつらえられる。
京の奥座敷、嵐山に憩う夏 星のや京都
Text Michiyo Tsubota
真夏こそ、暑さを癒やしてくれる、渓谷の奥へ。大堰(おおい)川のほとりにある「星のや京都」では、涼を得るために、さまざまな工夫を凝らした滞在が楽しめる。夏ならではの、贅を尽くした美味三昧でも満足できる休暇を。
朝早く、「星のや京都」の木戸を出て、大堰川沿いの細道を渡月橋に向けてゆっくりと歩いてゆく。清らかな朝の光とかぐわしい緑の香りに包まれた嵐山は、風光明媚(めいび)という言葉にふさわしい輝きを帯びている。
 昼間は、観光客や青いボートで繰り出す人々でにぎやかな嵐山も、朝は、ひっそりとしていて、穏やかな空気が流れている。今、見ている景色は、平安時代に貴族たちが眺めた景色と同じなのだろうか。野鳥が羽を休めている水辺の岩は、江戸時代に豪商、角倉了以(すみのくらりょうい)が保津(ほづ)川の開削工事をした際に残った岩かもしれない。歩くにつれて、嵐山がたどってきた長い時間が、じわりと体に染み込んでくるようだ。
 桜と紅葉の嵐山も絶景なのだけれど、深い緑に抱かれる夏の嵐山も素晴らしい。嵐山が本来持つ、四季折々の自然美をたっぷりと堪能できるのが、「星のや京都」に滞在することの大きな魅力だ。「星のや京都」へは、渡月橋近くの上り桟橋から、専用船で大堰川をさかのぼってゆく。左右に山々を眺めながら、ゆっくりと別世界へと誘われるかのようなアプローチ。何度訪れても、この優雅な演出には心が躍る。
 客室はすべてが大堰川を眺めるリバービュー。畳敷きの和室に置かれた“畳ソファ"に腰掛けながら、程よい高さからの目線で、川や緑を眺められる。家具やベッドはモダンデザインだが、古木に洗いを施した欄干や軒先に縁取られた景色は、あくまでも伝統的な和の美を醸し、まるで一幅の日本画のようだ。
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