
店はパサージュ・デ・パノラマ内にある。パサージュとは、屋根付きアーケード街で、19世紀のパリで大流行した。今もいくつものパサージュが残り、古き良き時代のパリの風情を残し、常に散策する人々でにぎわう。
料理のパーツ一つひとつに、より真剣に向き合えば向き合うほど、“クリエーション"から少し距離を置くようになってきた。
「自分の料理は、ありがたいことにお客様に好評をいただいています。でも、それを週末に自分で食べたいか、と自問すると、そうじゃないと思っている自分がいるのに気付いたのです」
今のフランス料理界、とりわけパリは、国籍を問わず、若手料理人による斬新さが前面に出た“クリエーション"が感じられる料理が注目を浴びている。が、佐藤氏は自分自身もその立役者の一人であった流れから、抜け出たいと思っている。
「面白いというよりも、しみじみおいしい、そんな料理がいいなあ、と強く思うようになったのです」
佐藤氏が目指す料理は、日本の鮨や、スペインバスクのリブロース炭火焼なのだ。
「鮨は、レシピはある意味同じ。でも、作り手によっておいしさの度合いが全く違う。牛肉の炭火焼は、最高の肉に塩をして焼くだけ。食材の良さと焼き手の技術が生み出すシンプルで極上の料理。こういうものに、自分たちがやっているガストロノミーは勝てないですよ(笑)。斬新すぎない、驚きよりもおいしさが勝ったシンプルな料理。そこに、私にしか出せない何かを加えたいのです」
加熱された一本のアスパラガスやグリーンピースのスープ。見た目はごく普通だが、口にすると、他で食べたことのないはっとするような風味と食感が口に広がる。突き詰めた仕事の深さを、皿の上ではなく口の中で感じてもらいたい。佐藤氏は今、そう願っている。
●Passage 53
53 Passage des Panoramas,
75002 Paris, FRANCE
TEL+33 1 42 33 04 35
www.passage53.com
「自分の料理は、ありがたいことにお客様に好評をいただいています。でも、それを週末に自分で食べたいか、と自問すると、そうじゃないと思っている自分がいるのに気付いたのです」
今のフランス料理界、とりわけパリは、国籍を問わず、若手料理人による斬新さが前面に出た“クリエーション"が感じられる料理が注目を浴びている。が、佐藤氏は自分自身もその立役者の一人であった流れから、抜け出たいと思っている。
「面白いというよりも、しみじみおいしい、そんな料理がいいなあ、と強く思うようになったのです」
佐藤氏が目指す料理は、日本の鮨や、スペインバスクのリブロース炭火焼なのだ。
「鮨は、レシピはある意味同じ。でも、作り手によっておいしさの度合いが全く違う。牛肉の炭火焼は、最高の肉に塩をして焼くだけ。食材の良さと焼き手の技術が生み出すシンプルで極上の料理。こういうものに、自分たちがやっているガストロノミーは勝てないですよ(笑)。斬新すぎない、驚きよりもおいしさが勝ったシンプルな料理。そこに、私にしか出せない何かを加えたいのです」
加熱された一本のアスパラガスやグリーンピースのスープ。見た目はごく普通だが、口にすると、他で食べたことのないはっとするような風味と食感が口に広がる。突き詰めた仕事の深さを、皿の上ではなく口の中で感じてもらいたい。佐藤氏は今、そう願っている。
●Passage 53
53 Passage des Panoramas,
75002 Paris, FRANCE
TEL+33 1 42 33 04 35
www.passage53.com
