世界の贅沢、NILEの贅沢

ピエランジェロ・フェンツィ氏。1999年にファルコネーリを立ち上げ、2009年にカルツェドニア・グループ傘下となって以降、メンズ部門のデザイナー兼製造責任者となり、プロダクト全般に目を光らせる。

ヴェロネージ氏は、１９８７年にレッグウェア＆スイムウェア・ブランド、カルツェドニアを立ち上げ、当時既に大きな成功を収めていた。
　ファルコネーリに可能性を感じたヴェロネージ氏は、グループ傘下に同ブランドを収めるとともに、創業者のフェンツィ氏を製造責任者に据え、彼のプランに耳を傾けながら、大規模な投資を開始。２０１４年には工場を、カルツェドニア・グループ本社のあるヴェローナの北に位置する、トレント県アーヴィオに移転し拡充を図る。コンピュータ制御の横編みマシンに加え、立体的に仕上げることが可能な日本の島精機製のホールガーメントマシンも積極的に導入。これに合わせて、雇用も拡大させる。また、直営ショップを展開し、２０１４年時点では、イタリア国内を中心に約30店舗を構えるまでになった。しかし、この段階ではファルコネーリの成功のストーリーは、まだ序章に過ぎなかった。

潤沢な資本と独自のノウハウ

　去る９月11日、ヴェローナ郊外のカルツェドニア・グループ本社敷地内にある巨大なアリーナに、世界各国からファッションジャーナリスト、バイヤー、インフルエンサー、ブランド関係者ら、約５００名が詰めかけていた。この日、ファルコネーリの２０１９‐２０２０秋冬コレクションのショーが開催されたのだ。　アリーナ内は氷や雪のモチーフで飾られ、新作ウェアの一部もディスプレーされる中、ランウェーの最前列にはセレブリティのゲストやアンバサダーが並び、その中には日本を代表するファッションモデル、冨永愛も姿を見せた。