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まして、不動産やREIT の価格は収益からはじき出される投資利回りによって一定の下方硬直性を有する。急激な景気悪化などによってテナント料・賃料が大幅に値下がりでもしない限り、不動産やREIT の価格が下がるほど利回りは上昇するわけで、その点は利回りの点において劣る株式とは性質が異なる。実際、今年の年初から一時的に日経平均株価が一定の調整を余儀なくされた場面でも、不動産やREIT の価格は非常に底堅く推移した。
 もちろん、いずれ米国で早期利上げ観測が強まり、結果的に米株価が調整含みの展開となるにつれて日本株も調整局面を迎えるような場面では、短期的にも市場が過敏に反応してREIT を含む不動産全般の価格が弱含みとなる可能性もないではない。しかし、中長期的には金利上昇を招くほどの景気回復が不動産投資の収益拡大期待を膨らませることとなり、将来的に想定されるインフレへの対応を目的とした投資需要を高めることにもつながることであろう。
 ここにきて、徐々に地価の下落に歯止めがかかりはじめた状況というのは、ようやく市場活性化と価格上昇の「スタート地点」にたどり着いたということになるものと見られる。もちろん、過去にはそこから「資産バブル」がスタートし、後に歯止めが利かないほどの短期的な上昇となって、最終的にはあえなくバブル崩壊の憂き目に遭ったという苦い経験があることも事実だ。
 しかし、すでに政策当局や不動産業界などは過去のバブルとその崩壊十分に学んでいる。今日では、不動産の価格が独自の鑑定評価や取引事例だけで決まることはなく、何より収益性が最も重要視される。また、以前のように金融機関が自らの経営体力をはるかに超えて融資の規模をひたすらに拡大させることもなければ、回収見込みに乏しい融資を無理に実行することもない。過去に見たバブルの悪夢は、もはや再現されないものと考えていいだろう。
(左)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 www.e-minamiaoyama.com
(右)THIS MONTH RECOMMEND
すでに資本主義の終わりは始まっている!?
まさに「水野和夫節、ここに炸さく裂れつ」の一冊。資本主義というシステムがついに終しゅう焉えんに向かい、混こん沌とんを極めていく「歴史の危機」に直面している私たちは、今まさに「脱成長という成長」を本気で考えなければならない。そんな以前から一貫していてブレがない著者の強烈な主張が、新書版で200ページ余りのコンパクトな分量にまとめられた本書の存在は大きい。より多くの人々の手に行き渡ってほしい「水野和夫の入門書」である。
『資本主義の終焉と歴史の危機』(水野和夫著/集英社/ 799円)
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