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海老とホワイトアスパラガス椀
原則的に葛引きは二度する。一度では濁りが椀に残るからだ。
椀味不只淡 第24回
Photo Masahiro Goda
文・神田裕行(元麻布「かんだ」店主)
神田裕行の椀五十選 第24回
海老が好きだ。
 若い頃はそうでもなかったのだが、ここのところ特に海老の誘惑に勝てない。ぷりぷりの海老を想像しただけでいたたまれなくなる。
 春には空豆、夏にはトウモロコシ、秋には新銀杏と合わせて、しんじょに仕立てるが、大好きな足赤海老が出た時は、もうそのまま葛引きをして椀盛にする。
 足赤海老とは、故郷・徳島の地方名で“本名"は熊海老である。車海老より太めで獰猛、時に共食いもするゆえこの名前が付いたらしいが、生来温厚で家族思いの熊には迷惑な話だ。
 若い頃は車海老が最高で、他は落ちると認識していたが、今は用途により細かく海老を選んでいる。そのきっかけがこの足赤海老だ。
 足赤海老は、車海老よりも弾性に富み、ぷりぷりというよりはブリブリ。香りは車海老に劣るものの甘みは劣らず、フライにしたり、鍋に入れたりしても最高だ。椀盛にはその身を半分に削いで、食感を椀用に誂えた。
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