
「Sensuous City [官能都市](HOME’S総研、2015年)の表紙。レポートはHOME’S総研ホームページから全文をダウンロードすることができる。www.homes.co.jp/souken/
「余白」と「雑味」
余白とともに、官能性の高い街に欠かせないのが「雑味」だ。東京大学大学院教授の大月敏雄氏は、その一つとして賃貸住宅の必要性を指摘する。例えば、戸建て住宅が中心のニュータウンでは、治安や風紀の面から賃貸住宅が排除されがちである。しかし、賃貸住宅があれば、出産や子供の進学などライフステージに合わせて賃貸から持ち家に移る、といった購入者の実情に合わせた住宅を用意することができる。親世代の協力を必要とする母子家庭が賃貸アパートに入るなど、その街の住人にぐっと多様性が生まれる。
街も人間も、画一的な合理性だけでは面白くも官能的でもない。ひと言では説明しきれない複雑さや歴史背景があり、人によって、時間帯や時代によって、さまざまに利用される余白と雑味があってこそ、初めて生まれる味わいや魅力がある。誰しもいい時ばかりではない、どんな時も受け止めてくれる懐の深さが街には必要だ。「センシュアス・シティ・ランキング」は、リアルな街の姿とその真価を探ることで、これからの都市の在り方について問うている。自分が本当に街に求めているものは何なのか。行政や時代に提示された理想から自らの視点に立ち返り、一考してもらいたい。
街も人間も、画一的な合理性だけでは面白くも官能的でもない。ひと言では説明しきれない複雑さや歴史背景があり、人によって、時間帯や時代によって、さまざまに利用される余白と雑味があってこそ、初めて生まれる味わいや魅力がある。誰しもいい時ばかりではない、どんな時も受け止めてくれる懐の深さが街には必要だ。「センシュアス・シティ・ランキング」は、リアルな街の姿とその真価を探ることで、これからの都市の在り方について問うている。自分が本当に街に求めているものは何なのか。行政や時代に提示された理想から自らの視点に立ち返り、一考してもらいたい。