
真の官能都市はどこか
上位の顔ぶれを眺めてみてもわかるように、官能性の高い街とはすなわち、新たに開発された「洗練された」街だけではなく、神社仏閣などの遺産から「昭和」を感じさせる個人店まで、新旧織り交ぜた多様性に富む街だ。もちろん、例えば1位の「文京区」のすべてが官能的なわけではない。その中でも特に官能的と思われるエリアを、島原氏にピックアップしてもらった。
①文京区湯島
「高級住宅地、繁華街、商店街のすべてを含有する多様性のあるエリア。階段や路地も多く、昔から続く人と人との触れ合いもありながら、匿名性があり、ロマンスもある、まさに官能性の高い街」
②中央区大手町から神田
「近代的な複合ビルから路面の料理屋や古書店まで、落差の大きいものがギュッと詰まっている」
③品川区五反田
「キャバクラ街的なエリアがあれば、その先には高級住宅地もある。ガード下の立ち食いずしでサラリーマンが一杯やっている隣で、ITベンチャーの連中が議論していたりする、なかなか面白い街」
④横浜市中区野毛から関内
「みなとみらいはつまらないが、野毛の飲み屋街や、古い建物が残る関内は多様性が感じられて魅力的」
⑤金沢市中心街
「地方では王道だが、金沢はコンパクトで、どこに行くのも近いのがいい。地方都市では珍しく、『刺激的で面白い人たちが集まるイベント、パーティーに参加した』を始めとする『機会がある』のスコアが高いことは注目に値する」
⑥大阪市北区
「西日本一のビジネス街がある、そのすぐ横に、北新地の飲み屋街もある。少し歩けば、古い長屋が残ったレトロなエリアにカフェが立ち並ぶ中崎町があり、川を渡って中央区に入りますが、北浜には川沿いにテラス席のあるお店が増えている」
いずれも、多様性に富み、他にない個性があり、ゆっくり滞在して楽しんでみたい官能性を持つ街である。だが、残念なことに、東京を始め多くの街に、都市を画一的にする再開発の波が押し寄せている。
武蔵小山から消えゆくもの
島原氏は調査のきっかけとして、目黒区の武蔵小山の現状について触れている。武蔵小山といえば、駅前から延びる日本一長いアーケード商店街「パルム」のにぎわいが特徴だ。しかし、この街の魅力はそれだけではない。例えば、アーケードから外れた駅前の一画にある、スナックなどが立ち並ぶ小さな飲食街「りゅえる」。住民からは親しみを込めて「暗黒街」などと呼ばれるが、この「りゅえる」が解体され、ビルを建てる計画が進められている。地元の人には、これを歓迎している方も多くいるかもしれない。だが、一度歩いただけではわからない、国籍さえわからないような歴史と混沌(こんとん)とがないまぜとなった「りゅえる」の奇妙な魅力は、間違いなく武蔵小山の個性の一つだった。ここの常連ではなくとも、失われるのは寂しいと思うのは、島原氏だけではないはずだ。
そもそも、なぜこのような街の官能性が排除され続ける、現在の状況が生まれてしまったのか。キーワードの一つがバブル崩壊後のマンションブームである。
①文京区湯島
「高級住宅地、繁華街、商店街のすべてを含有する多様性のあるエリア。階段や路地も多く、昔から続く人と人との触れ合いもありながら、匿名性があり、ロマンスもある、まさに官能性の高い街」
②中央区大手町から神田
「近代的な複合ビルから路面の料理屋や古書店まで、落差の大きいものがギュッと詰まっている」
③品川区五反田
「キャバクラ街的なエリアがあれば、その先には高級住宅地もある。ガード下の立ち食いずしでサラリーマンが一杯やっている隣で、ITベンチャーの連中が議論していたりする、なかなか面白い街」
④横浜市中区野毛から関内
「みなとみらいはつまらないが、野毛の飲み屋街や、古い建物が残る関内は多様性が感じられて魅力的」
⑤金沢市中心街
「地方では王道だが、金沢はコンパクトで、どこに行くのも近いのがいい。地方都市では珍しく、『刺激的で面白い人たちが集まるイベント、パーティーに参加した』を始めとする『機会がある』のスコアが高いことは注目に値する」
⑥大阪市北区
「西日本一のビジネス街がある、そのすぐ横に、北新地の飲み屋街もある。少し歩けば、古い長屋が残ったレトロなエリアにカフェが立ち並ぶ中崎町があり、川を渡って中央区に入りますが、北浜には川沿いにテラス席のあるお店が増えている」
いずれも、多様性に富み、他にない個性があり、ゆっくり滞在して楽しんでみたい官能性を持つ街である。だが、残念なことに、東京を始め多くの街に、都市を画一的にする再開発の波が押し寄せている。
武蔵小山から消えゆくもの
島原氏は調査のきっかけとして、目黒区の武蔵小山の現状について触れている。武蔵小山といえば、駅前から延びる日本一長いアーケード商店街「パルム」のにぎわいが特徴だ。しかし、この街の魅力はそれだけではない。例えば、アーケードから外れた駅前の一画にある、スナックなどが立ち並ぶ小さな飲食街「りゅえる」。住民からは親しみを込めて「暗黒街」などと呼ばれるが、この「りゅえる」が解体され、ビルを建てる計画が進められている。地元の人には、これを歓迎している方も多くいるかもしれない。だが、一度歩いただけではわからない、国籍さえわからないような歴史と混沌(こんとん)とがないまぜとなった「りゅえる」の奇妙な魅力は、間違いなく武蔵小山の個性の一つだった。ここの常連ではなくとも、失われるのは寂しいと思うのは、島原氏だけではないはずだ。
そもそも、なぜこのような街の官能性が排除され続ける、現在の状況が生まれてしまったのか。キーワードの一つがバブル崩壊後のマンションブームである。