「官能性の高い都市には、雑多なモノが混在し、そこから生まれる多様性があります。職住遊が近接していて、コンパクトで歩いて回ることができる。不動産の価格もありますから、表通りに大資本が入るのは仕方ないとして、その裏手に昭和の香りのする店が残っていたりすると面白い。しかし、大規模な一体再開発はそういう余白を塗り潰して行われるから、街がつまらなくなるのです」
再開発によって、まっすぐな広い道で、大手のチェーン店を見て歩いても味気ない。横丁礼賛なわけではないが、「車を基準にするより、歩いた時のことを考える、人間のヒューマンスケールにフィットする空間構成の街が、いい街なんじゃないかと考えています」と島原氏。
「東京では、だいたい標高の高いところに神社仏閣や高級住宅街があって、そのふもとに繁華街がある。その二つが一体となっている場所はおおむね官能性の高い街と言えます」
近年では法律上、狭い路地に小さな店を建てることは難しく、再開発ではまずこうした路地や坂が潰され、整備されてしまうが、昭和の風景が残る街では、歩いていれば、ふと路地や細い坂道、階段があり、そこに新しい発見があったりする。六本木も、かつて存在した坂の多くが失われてしまった。だが、後述する全国官能都市ランキングで1位にランクインした文京区では、歩いているとふと階段が出てくるなど、昔の風情が残されている。「歩いていて楽しい」という感覚は、街の官能性を測る上で、欠かせない要素だ。
人と人とのコミュニティーがある一方で、田舎のように自分の行動が筒抜けにならない匿名性もあり、かつ人との出会いによるさまざまなチャンスがある。歩いて楽しく、おいしいものが食べられ、水や緑が近くにある。それは、世界に共通する都市の価値観ではないか、と島原氏。
「外国の都市は、再開発するにしても、古くいいところは残しながら抑制が効いています。でも、日本では、積極的に残そうとしているのは京都などの観光地くらいでは? 駅前に大規模マンションを造り、その下に商業施設を入れても、家賃が高いためにチェーン店しか入らない。そのリスクは、地方では認識され始めています。今後、東京ではオリンピックを契機に都市改造計画が目白押しですが、ヒューマンスケールに基づいた、官能性の高い街づくりが進んでいけばいいと願っています」
再開発によって、まっすぐな広い道で、大手のチェーン店を見て歩いても味気ない。横丁礼賛なわけではないが、「車を基準にするより、歩いた時のことを考える、人間のヒューマンスケールにフィットする空間構成の街が、いい街なんじゃないかと考えています」と島原氏。
「東京では、だいたい標高の高いところに神社仏閣や高級住宅街があって、そのふもとに繁華街がある。その二つが一体となっている場所はおおむね官能性の高い街と言えます」
近年では法律上、狭い路地に小さな店を建てることは難しく、再開発ではまずこうした路地や坂が潰され、整備されてしまうが、昭和の風景が残る街では、歩いていれば、ふと路地や細い坂道、階段があり、そこに新しい発見があったりする。六本木も、かつて存在した坂の多くが失われてしまった。だが、後述する全国官能都市ランキングで1位にランクインした文京区では、歩いているとふと階段が出てくるなど、昔の風情が残されている。「歩いていて楽しい」という感覚は、街の官能性を測る上で、欠かせない要素だ。
人と人とのコミュニティーがある一方で、田舎のように自分の行動が筒抜けにならない匿名性もあり、かつ人との出会いによるさまざまなチャンスがある。歩いて楽しく、おいしいものが食べられ、水や緑が近くにある。それは、世界に共通する都市の価値観ではないか、と島原氏。
「外国の都市は、再開発するにしても、古くいいところは残しながら抑制が効いています。でも、日本では、積極的に残そうとしているのは京都などの観光地くらいでは? 駅前に大規模マンションを造り、その下に商業施設を入れても、家賃が高いためにチェーン店しか入らない。そのリスクは、地方では認識され始めています。今後、東京ではオリンピックを契機に都市改造計画が目白押しですが、ヒューマンスケールに基づいた、官能性の高い街づくりが進んでいけばいいと願っています」