








現在のF.P.ジュルヌには、このヒゲゼンマイを除き、文字盤からケースに至るほぼすべてを、自社内でまかなえる体制が整っている。
20周年を祝し、ブランド創立時のファーストモデル「トゥールビヨン・スヴラン」をアップデートするべく、今年1月に発表された「トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカル」は、この完璧なマニュファクチュール体制の成果と言うべきものだ。従来のトゥールビヨンとは異なり、トゥールビヨン・キャリッジを文字盤に対して水平ではなく垂直方向に設置することで、重力の影響を平均化する効果をさらに高めたことに加え、F.P.ジュルヌのトゥールビヨンらしく、ゼンマイからのトルクを一定に保って精度を高める複雑機構ルモントワール・エガリテも搭載。機械の完成度の高さは言わずもがな、エナメル製の文字盤も優美。ジュネーブ在住のエナメル師と、自社グループ傘下の文字盤ファクトリーが共同して作り上げたものだ。20年という時間が、天才時計師にさらなる円熟をもたらしたことは間違いない。