
丹波・松茸山の今
「あの山の中腹を見てください。一面が茶色くなってるでしょう。あれは赤松が“松枯れ"してしまってるんです。1本やられてしまうと、周辺の松も次々と松くい虫にやられてしまう。枯れてもまた松は生えてくるのですが、なんでか20年くらい経ってようやく成木になったと思うと、また松くい虫にやられるんですよ。こうやって、松林がどんどんなくなっている。あっちの山はもう再生しないでしょうね。
この松枯れに加えて、今年は例年の2割程度しか松茸が出ないという異常な状況です。恐らく10月になっても夏日(高温)と晴天が続いたので、丹波の松茸にとって過酷な気象条件となったのでしょう」
こう語るのは、この地で30年以上、丹波の松茸を採っている名人・細見和正さんだ。
「丹波には昔から“丹波霧"という密度が濃い霧が発生していました。この霧は、農作物を“おいしくする"といわれるほどいい影響を与えていたようです。かつては、この丹波霧が午前11時ごろまで晴れず、その後、晴天の日が続いても、植物は霧から水分を得ることができました。ところが近年、この霧が午前8時には晴れてしまうのです。雨が降らずに晴天が続けば、植物はたちまち日焼けして、水分が飛んでしまいます。松茸はこの“丹波霧"が少なくなった影響をモロに受けているんだと考えています。これは地球温暖化による気象状況の変化が大きく影響していると思います。
もう一つ、ここらの松の性質が弱くなっているのも事実です。寒さにさらされて強く育った昔の松は、たとえ松くい虫が入ってきても、自分の松ヤニで撃退していたという説を信じています。それが温暖化したことで、昔ほど寒くない。だから松自体が“ヒヨワ"になってるんですね。大工さんが今の松は、『松ヤニが少なくなった』とぼやくほどですから」
そもそも“松枯れ"は、通称「松くい虫」である「マツノザイセンチュウ」という体長1㎜にも満たない線虫が松の樹体内に入ることで引き起こされる伝染病だ。もともと日本にはいない線虫で、北アメリカから持ち込まれた侵入生物であるため、被害に遭うと撃退するには大掛かりな作業になってしまう。地域で管理している松林の場合、なかなか完全駆除は難しいという。
この松枯れに加えて、今年は例年の2割程度しか松茸が出ないという異常な状況です。恐らく10月になっても夏日(高温)と晴天が続いたので、丹波の松茸にとって過酷な気象条件となったのでしょう」
こう語るのは、この地で30年以上、丹波の松茸を採っている名人・細見和正さんだ。
「丹波には昔から“丹波霧"という密度が濃い霧が発生していました。この霧は、農作物を“おいしくする"といわれるほどいい影響を与えていたようです。かつては、この丹波霧が午前11時ごろまで晴れず、その後、晴天の日が続いても、植物は霧から水分を得ることができました。ところが近年、この霧が午前8時には晴れてしまうのです。雨が降らずに晴天が続けば、植物はたちまち日焼けして、水分が飛んでしまいます。松茸はこの“丹波霧"が少なくなった影響をモロに受けているんだと考えています。これは地球温暖化による気象状況の変化が大きく影響していると思います。
もう一つ、ここらの松の性質が弱くなっているのも事実です。寒さにさらされて強く育った昔の松は、たとえ松くい虫が入ってきても、自分の松ヤニで撃退していたという説を信じています。それが温暖化したことで、昔ほど寒くない。だから松自体が“ヒヨワ"になってるんですね。大工さんが今の松は、『松ヤニが少なくなった』とぼやくほどですから」
そもそも“松枯れ"は、通称「松くい虫」である「マツノザイセンチュウ」という体長1㎜にも満たない線虫が松の樹体内に入ることで引き起こされる伝染病だ。もともと日本にはいない線虫で、北アメリカから持ち込まれた侵入生物であるため、被害に遭うと撃退するには大掛かりな作業になってしまう。地域で管理している松林の場合、なかなか完全駆除は難しいという。