


1.極上の宇治茶は、京都の水で入れると、いっそううまみが増す。最近はスイーツ界で“抹茶ブーム”を起こしている。
2.水が旨いから、酒も旨い。伏見に湧き出る「御香水(ごこうすい)」を始め「金名水」「銀名水」「白菊水」など多くの名水伝説が残る。
3.「京の伝統野菜37品目、京のブランド産品27品目などを認証し、京野菜のブラン化を進めています」と山下副知事。
2.水が旨いから、酒も旨い。伏見に湧き出る「御香水(ごこうすい)」を始め「金名水」「銀名水」「白菊水」など多くの名水伝説が残る。
3.「京の伝統野菜37品目、京のブランド産品27品目などを認証し、京野菜のブラン化を進めています」と山下副知事。
知恵の集積
【山下】水と土という自然の摂理の上に、いろんな人間の知恵が積み重なって、京料理ができたと思う。
【神田】昔から料理屋さんが多いし。
【徳岡】御所があったというのが大きいね。全国から豊富な食材が届いて、質・量ともに上がったこともある。ただ、魚は少ない。川魚か塩干物か。あとは鱧、鯖、ぐじ……
【神田】鱧だけが唯一、“生き"で持って来られたんでしょ? 落語に、鱧を籠に入れて山越えて運ばれて、途中で逃げるやつがいて、「京都の鱧は山でとれる」みたいな話がありますから。
【徳岡】あ、そうか。生きたまま運ばれて。かなり生きますもんね、鱧は。
【神田】若狭ぐじとか鯖は一塩してから運ばれて。ほかの国の首都と違って、京都は比較的海に近い都だから、海産物にも恵まれてましたよね。
【山下】昆布も北海道から北前船で福井に来て、そこから京都へ。海流が激しくて、太平洋側には運べませんから、京都にいい昆布が入ったのも、自然の摂理かなと思ってるんです。
【神田】なるほど。乾物では、京都の人はにしんをよく食べるんですか?にしんそばは京都にしかないような。
【徳岡】乾物の技術が発達していて、そばとひっつけたのが京都のアイデア。京都産のそばはないんです。それで今、京丹後市でやっている「トライアル農地」というプロジェクトの一環で、そばを作ろうとしています。京都の人も実はそば好きなんだって。クオリティーの高いそば屋の出店率が東京と並んで高いそうです。
【神田】そばは、お米のできない山間部で、主食として発達してきたんですよね。
【徳岡】そう。今も減反対策でやってるところはあるんですが、本気で作ってない。それを本気でやろうと。それと、京野菜について言えば、もともとは外来種だったものが京都に根付いた、そこに知恵というか、工夫があったように思います。例えば、えびいもも基本的に里芋。親株を分けて、子株一つひとつが長くなるように育ててるんです。
【神田】堀川ごぼうも品種でなく?
【徳岡】普通のゴボウ。聞いた話では、秀吉の聚楽第が壊されて、堀がゴミ捨て場になって有機物に富んだいい土壌になった。そこにたまたま巨大なゴボウが育ったと。浅く斜めに植え付けると、太く肥大するんだね。
【神田】へぇ。それにしても、誰がこのコをこんなに大きくしたのか。
【山下】京都の野菜は、丸く大きくなると、誰かが言ってました。丹波栗も大納言小豆も黒豆も、みんな丸くて大きいでしょ。
【神田】その辺も、質のいい水と土あっての知恵の集積でしょうね。
【徳岡】ただ、あえて苦言を呈したいのは、例えば京野菜というだけで売れてしまう現象にあぐらをかいて欲しくないということ。うちは京都産かどうかより、いいものを使いたい。
だからお米も毎年、全国からトーナメント方式でえりすぐってますし、野菜も京都を含む全国の一生懸命有
機農業に取り組む生産者さんとコミュニケーションをとりながら入れてます。
【神田】そうですよね。僕も無農薬のおいしいお米を求めて、南魚沼の塩沢町の道路の右側の田んぼに手植えしに行ったりしています。
【徳岡】「旨い」の産地はピンポイントで、しかも毎年そことは限りませんからね。
【山下】水と土という自然の摂理の上に、いろんな人間の知恵が積み重なって、京料理ができたと思う。
【神田】昔から料理屋さんが多いし。
【徳岡】御所があったというのが大きいね。全国から豊富な食材が届いて、質・量ともに上がったこともある。ただ、魚は少ない。川魚か塩干物か。あとは鱧、鯖、ぐじ……
【神田】鱧だけが唯一、“生き"で持って来られたんでしょ? 落語に、鱧を籠に入れて山越えて運ばれて、途中で逃げるやつがいて、「京都の鱧は山でとれる」みたいな話がありますから。
【徳岡】あ、そうか。生きたまま運ばれて。かなり生きますもんね、鱧は。
【神田】若狭ぐじとか鯖は一塩してから運ばれて。ほかの国の首都と違って、京都は比較的海に近い都だから、海産物にも恵まれてましたよね。
【山下】昆布も北海道から北前船で福井に来て、そこから京都へ。海流が激しくて、太平洋側には運べませんから、京都にいい昆布が入ったのも、自然の摂理かなと思ってるんです。
【神田】なるほど。乾物では、京都の人はにしんをよく食べるんですか?にしんそばは京都にしかないような。
【徳岡】乾物の技術が発達していて、そばとひっつけたのが京都のアイデア。京都産のそばはないんです。それで今、京丹後市でやっている「トライアル農地」というプロジェクトの一環で、そばを作ろうとしています。京都の人も実はそば好きなんだって。クオリティーの高いそば屋の出店率が東京と並んで高いそうです。
【神田】そばは、お米のできない山間部で、主食として発達してきたんですよね。
【徳岡】そう。今も減反対策でやってるところはあるんですが、本気で作ってない。それを本気でやろうと。それと、京野菜について言えば、もともとは外来種だったものが京都に根付いた、そこに知恵というか、工夫があったように思います。例えば、えびいもも基本的に里芋。親株を分けて、子株一つひとつが長くなるように育ててるんです。
【神田】堀川ごぼうも品種でなく?
【徳岡】普通のゴボウ。聞いた話では、秀吉の聚楽第が壊されて、堀がゴミ捨て場になって有機物に富んだいい土壌になった。そこにたまたま巨大なゴボウが育ったと。浅く斜めに植え付けると、太く肥大するんだね。
【神田】へぇ。それにしても、誰がこのコをこんなに大きくしたのか。
【山下】京都の野菜は、丸く大きくなると、誰かが言ってました。丹波栗も大納言小豆も黒豆も、みんな丸くて大きいでしょ。
【神田】その辺も、質のいい水と土あっての知恵の集積でしょうね。
【徳岡】ただ、あえて苦言を呈したいのは、例えば京野菜というだけで売れてしまう現象にあぐらをかいて欲しくないということ。うちは京都産かどうかより、いいものを使いたい。
だからお米も毎年、全国からトーナメント方式でえりすぐってますし、野菜も京都を含む全国の一生懸命有
機農業に取り組む生産者さんとコミュニケーションをとりながら入れてます。
【神田】そうですよね。僕も無農薬のおいしいお米を求めて、南魚沼の塩沢町の道路の右側の田んぼに手植えしに行ったりしています。
【徳岡】「旨い」の産地はピンポイントで、しかも毎年そことは限りませんからね。