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 三陸の塩蔵わかめは真水で1、2分塩気を落としてから食べるというのが定説であるが、その後の実験により50℃のお湯で2分間洗うことにより、より鮮明な色と香り、そして心地よい歯触りまで得られることが分かった。素材の真味に近づく新しい発見は楽しい。皆さまもぜひお試しあれ。
 戻したワカメは、旬を迎える筍と合わせ木の芽をあしらう。春の定番ではあるが、その相性の良さは、凡百の創作料理を寄せ付けない。
 私の好きな言葉に、「稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一」という利休のものがあるが、20歳で作った最初の若竹椀と50を過ぎた今の私の若竹椀との違いは、決して見た目ではなく、その味わいでしっかり表現できていると願いたい。
 先ほど触れた言葉を引用するまでもなく、日本人にとっての稽古とは技術性よりむしろ精神性を問うている。これは柔道とレスリングの違い、または剣道とフェンシングの違いと似ているし、料理の世界でも「勉強に行く」とは言わずに「修行に行く」と言っていた。少なくとも私の若い頃までは。
若竹椀
筍の味わいを年ごとに強く感じる。年を取らねば理解できない味というのもあるのかもしれない。
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