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ヤーコプ・ヨルダーンス 《クレオパトラの饗宴》 1653年 
ⒸThe State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18
クレオパトラの饗宴
世界的な美女として知られるクレオパトラにまつわる数々の伝説で、特に有名なのがこの「クレオパトラの饗宴(きょうえん)」である。クレオパトラの饗宴に招かれたローマの将軍アントニウスは、その盛観に圧倒されるが、クレオパトラは世俗の財宝、富には頓着しないことを見せるため、高価な真珠の耳飾りを外してワイングラスに入れて溶かし、それを飲んだという。実にバロックらしい「美男美女に豪勢な饗宴」というテーマながら、表に出さない、権力や富、恋への下心が見え隠れしている。ルーベンスの弟子であるヤーコプ・ヨルダーンスが描いたこの作品には、彼の持ち味である、庶民的な泥臭さとエネルギーを感じる。ただ単に上品で優美というより、美男美女の表情に彼らの“キャラ"を込め、“下心"までを描き出す。クレオパトラは美貌を武器に将軍アントニウスを手玉にとろうと、将軍は男の下心たっぷりにと見えはしないか。
 これらの作品があるエルミタージュ美術館は、1764年にエカテリーナ2世がベルリンの実業家から317点の絵画コレクションを取得したのがその始まりだ。現在では1万7000点にもおよぶコレクションを所蔵する美の殿堂である。中でも充実しているのが、16世紀ルネサンスから18世紀までのバロック、ロココのオールドマスターのもの。これらは美術館で常設展示されている、“エルミタージュの顔"であるため、なかなか外には出てこない。3月18日から森アーツセンターギャラリーで開催される「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」では、エカテリーナ2世が1764年に取得した作品を始め、在位中に収集したものを含む、オールドマスターの傑作がやって来る。隠れ家から飛び出してくる珠玉のコレクションを見に行こう。

大エルミタージュ美術館展 
オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち

会期 2017年3月18日(土)~ 6月18日(日)
会場 森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)
開館時間 10:00 ~ 20:00(5月2日を除く火曜日は17:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 5月15日(月)
TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
www.hermitage2017.jp
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