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同アワードの審査員として初めて顔を合わせたという千住博氏と山下裕二氏。二人は「1958(昭和33)年生まれの同級生」「大学院博士課程満期退学」「お先真っ暗の20代を過ごした」など多くの共通点があり、すっかり意気投合したという。
「現代の日本画は、なぜダメなのか――日本美術の未来のために」をテーマに
山下――この堂島リバーアワードはですね、審査員は私(山下裕二)と千住博さんと秋元雄史さん(金沢21世紀美術館館長)。そして画家の山口晃さん。4人で審査を行いました。まずは、全体の印象について千住さんからお願いします。
 千住――大きさを味方に引きつけている作品が多かったなと。あと空間をきちんと考えている作品。大きさに負けちゃっている作品というのは、やっぱり弱く見える。もう一つは、小さい作品でも内容が大事。「大きさじゃないよね」って皆で言いながら、審査をしていました。基本的にとても描き込みがあって、しっかりした作品が多くて、この大賞の作品が象徴していますけども、かなりかっちり、しっかりやっているということを感じました。
 僕が言いたいことはいくつかあって、それは今から山下さんと話を進めながら明らかにしていきますけども、基本的にはとてもいい展覧会になりました。質の高い作品がそろっていますし、こんな作品が落ちてしまうのか、というものもありました。それは、審査員の一人でも強く反対すれば、それは理由があってそうしているのだと僕らもとても理解していますから。僕はいいと思っても、他の人が「どうだろうか?」と言って、落とさざるおえないものもあったし、それは僕だけでなく、他の先生も自分はいいと思っても、他の3人が「いやあどうだろう?」という場合には、身を引いた。そんな風なことで、今回、入賞した作品は、結果的に僕たち4人が「まあいいだろう」と合格点をつけたもの。大賞や優秀賞、特別賞、堂島リバーフォーラム賞をとった作品は、「まあいいだろう」というレベルではなく、「本当に素晴らしい」と一同口をそろえた作品ばかりでしたね。
 山下――今日はですね、トークイベントのタイトルがね、「現代の日本画は、なぜダメなのか」。これはいかにも僕が言いそうなことなんだけど……。 千住――山下さんじゃないの?
 山下――実はこれは千住さんが言い出したことなんですよ。
 千住――そうだったっけ(笑)。
 山下――「日本美術の未来のために」っていうのは、僕が言った。私は前向きなんだよ。私たち二人に逆のイメージを持たれている人も多いかもしれないけど。実はそうなんですよ。
 千住――あのね、山下さんは“日本画応援団"なの。
 山下――僕は“日本画"だけじゃないよ。“日本美術応援団"だよ。まあいいや。とにかく我々歳が同じなんですよ。1958(昭和33)年生まれ。この間、この審査の後、飲みましたねー。
 千住――お互い、大学院博士課程満期退学ってことがわかりましたね。
 山下――お先真っ暗の20代を過ごしていました。
 千住――それは僕もそう。
 山下――バブルのころに本当に日陰者だった。
 千住――ドンみたいに院展とか出してないとさ、全然ダメなんだよね。
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